テクスト

 たまにはインテリぶってみたい。

 テクストという言葉の語源が織物にさかのぼることは、おそらく皆様ご存知のことだろう。

 織物というのは縦糸横糸重ねて織っていくわけで、さまざまな文が縦糸横糸となって1つの作品を紡いでいるということになる。

 実はこの織物というのは一つの作品だけで独立しているわけではない。

 ありとあらゆる作品はまた大きな一つの織物であると考えることもできる。


 そのようなことを指し示す概念に間テクスト性というものがある。

 作品それぞれがまた相互に作用し合うテクストなのだという考えだ。

 インテリぶってみたいとは書いたものの、わたしはただの半知半解な野暮天なので、うまく説明することができない。

 ただ、この間テクスト性というのはエンターテイメント分野でも普通に作用しているものである。


 どこで読んだか忘れてしまったが、この概念について説明したものに、「谷崎が源氏物語にどのような影響を与えたかを研究する手法」みたいなものがあった。

 こう書くと、突飛な方法のようにも思えるかもしれない。逆だろ、それと思われるかもしれない。

 しかし、たとえば、古事記だって近世国学がなければ、これほどまでに有名になっていなかったはずである。

 こう考えると、日本における歴史小説、とりわけ戦国時代や中国三国時代を舞台にした小説の受容に見られるコーエーテクモ歴史ゲームの影響なんてのは立派な研究テーマになるわけだ。


 そして、この考えは他の小説にもつながってくる。

 テンプレートというのは様々なテクストを参照しているからこそ成り立つものだし、パロディ、パスティーシュ、オマージュもテクストの織り目があるからこそ楽しめるものだ。

 ウェブ投稿サイトというのも一種の織物である。

 そもそも、ウェブという単語自体が蜘蛛の巣、すなわち織物のように糸を張り巡らされたものから来ているのだから、当然といえば当然である。

 それゆえ、わたしはしばしば色々なところにリンクを貼る。

 私の作品、他の方々の作品を重ね合わせて、少しずつ大きなテクストを織っていく。


 まぁ、PV稼ぎたいだけなんだけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る