こんさば
コンサバティブ、別に政治の話をしようというわけではない。
食べ物についての話である。
太郎丸(仮名)は味に関してはとかく保守的で、これまで食べてきたもの以外はなかなか食べてくれない。
今夏、夏バテ気味の彼に西瓜を少しあげようと思ったのだが、絶対に口にすることはなかった。
太郎丸(仮名)が自分のケージから出るところをずっと見張っていた次郎丸(仮名)が二人前食べた。
見知らぬ食べ物に警戒心を抱くのは、悪いことばかりではない。
実家の菊子(仮名)は拾い食いをよくする子で、生ゴミから地面で静かに最期を待つセミまでありとあらゆるものを口に入れたがったが、太郎丸(仮名)はそうではない。
次郎丸(仮名)のほうはとりあえず口に入れてみようとするが、「ペッしなさい」というとちゃんと出してくれる。
拾い食いや盗み食いに関しては、うちの犬たちの性格は美徳と言っても良いものであるが、新しいおやつを取り入れるとき、なかなか大変だ。
先述の通り、とくに太郎丸(仮名)は大変である。
安くて添加物も入っていないおやつを見つけて喜び勇んで購入しても、なかなか食べてくれない。
次郎丸(仮名)が二人前食べ続けることになる。
そのくせ、太郎丸(仮名)は盗み食い前科二犯なのだから、よくわからない。
ちなみに食い意地大魔神みたいに言われている次郎丸(仮名)は意外なことに犯歴がつい最近までなかったのである。
不思議なものだ。
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