ホラとウソ

 私はホラ吹きだ。

 ホラを吹くのが大好きだ。しかし、ウソは好きではない。

 ホラもウソも一緒だろうと言われると、そのとおりだとしか言いようがない。

 ただ、個人的には自分なり(といっても後述のようにパクリ)の定義を決めて、なるべくウソつきにならないようにと心がけている。


 私の中でのホラとウソは次のように定義されている。

 ホラは「他愛のないことで、それによって利益を得たりしないもの」、ウソは「それによって自分の利益を得るもの」である。ここでいう利益には何かを得るだけではなく、自分を大きく見せて得る快楽(?)も含まれている。

 昔、先輩がそんなことをおっしゃっていて、それを聞いて以来、自分の中の基準もそこに置くようにした。


 もちろん、定義しても綺麗に割り切れるものではない。

 私がここで書き散らしたものは、大部分がホラである。そのまんま書きすぎるとリアルと紐づいちゃうかもと心配して変えてるとこもある。まぁ、これぐらいは良しということにしている。

 それでも、中には自分自身を格好良く見せようとしているものもありそうで、それはホラというよりウソなのではないかと問われようものなら、きゅーとうめいた後に穴に逃げ込んでしまうかもしれない。


 ただ格好つけようとか自分を大きく見せようというウソは大抵の場合、詳しい者が見れば簡単にばれるものだ。

 神は細部に宿るではないが、その分野で当然の常識を知らなかったり、つじつまが合わなくなったりというのは案外わかるものなのだ。

 私自身も、「なわけねぇだろ、バカ。ふかしてんじゃねぇよ」と思ったことが幾度もある。

 見破られるようなウソで自分を飾っていても、それはたいそう格好悪い。

 もとより格好悪い私だ。さらに格好悪くなるのはぜひとも避けたい。だから、ウソはなるべくつかないようにと努力している。


 ウソつきと遭遇した場合、私は基本的に距離をとる。

 ウソをウソと指摘しても何一つ儲からないどころか、ウソを重ねられるか相手の恨みを買うだけだからだ。これは使い込みをしていたトンマと遭遇したときに学んだことだ。

 わめきちらすというのは(相手の時間を奪い、気力を萎えさせるゆえに)、実は有効である。

 個人的には格好悪いからやりたくはないが、他者が私と同じような行動原理で動くとは限らない。

 なんにせよ、ウソをついて得することはあまりなさそうだ。


 さて、ここで疑問に思われた方がいるかもしれない。

 お前は自分のことを長身インテリイケメン青年とかほざいているけど、それウソだろ。そんなことまでしてお前はモテたいのか、と。


 実は私が長身インテリイケメン青年であるというのはウソではないし、私はモテモテだから別にここでアピールする必要はない。

 本当である。


 それでも疑問に思う方もいるかもしれない。

 ならば、その疑問にも答えようではないか。


 本当だって言ってるだろ、てめぇ。

 呪うぞ、生霊とばすぞ、俺の実家の財閥が動いたらどうなるかわかってんだろうな! てめぇんちどこだよ。俺のCIAがFBIでどうなるかわかってのか、こら!


 かようにウソつきは格好悪い。

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