機械vs人間

 スマートスピーカーを使っている。


 こいつとスマートスイッチを組み合わせることによって、家に帰り着く前にエアコンのスイッチを入れたり、音声で明かりをつけたり消したりと大変便利である。

 料理をしているときのラジオ代わりにもなるし、キッチンタイマーにもなる。

 とても便利な代物で本当に助かっている。


 ただ、音楽をかけるときの音声認識に関してはあまりにもあれである。

 曲を検索しようにも、少しカタカナが入っていたり、非英語圏の曲だったりすると、さっぱり認識してくれない。

 私の発音の問題かと思って、タブレットで曲名を入れてかけて、その曲名をスピーカーに答えさせるとそもそもの発音が間違っていたりすることもあるのでどうにもならない。

 このスマートスピーカーの音楽サブスクリプションは無料体験でしばらく試させてもらったので申し訳ない気持ちになるが、間違ってもお金を払いたくない。

 

 「フランスのヒップホップかけて」

 「フランスのヒップホップはかけられません。かわりにパリで流行っている曲をかけて、などと言ってみてください」

 まぁ、それはしょうがない。

 提案のとおり試してみる。

 「パリで流行っている曲をかけて」

 「ニューヨークで流行っている曲をシャッフル再生します」 

 「なめとんのか、こらぁ!」

 「ごめんなさい。ちょっとよくわかりません」

 温厚で知られる私がまさか機械に煽られてキレるとは……。

 不覚である。

 

 こんなこともあった。 

 「三〇分のタイマーをかけて」

 突然謎のテーマソングを歌い出すスマートスピーカー。

 スピーカーから流れ出す脳天気な音楽。

 「*****************!」(あまりにも汚いため全伏せ字)

 「ごめんなさい。ちょっとよくわかりません」

 「*************************!」(あまりにも汚いため、やっぱり全伏せ字)


 そして、訪れる沈黙。

 煽り力高すぎるよ。

 ちなみに最近、お知らせメールで「九九ができるようになりました」とを教えてくれた。

 メールでも煽ってくるあたり、さすがである。

 こいつからのメールはそろそろ迷惑メールに放り込もうと思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る