　犬というのは好きな相手に密着したがる。

　背中をくっつける、頭を擦り寄せる、尻をくっつける。

　色々あるが、この手の愛情表現にも各犬ごとに個性というか好みがあるらしい。

　太郎丸（仮名）は尻をくっつけるのが好きだ。彼は相手に甘えたいときにしばしば、ぐりぐりと尻を押し付けてくる。

　一方、次郎丸（仮名）は頭を擦り付けたり、アゴを相手の身体にのせたりするのが好きである。ドッグランでも好きな子を見つけると、相手の尻にアゴをのせたくて、好きな子の尻の周りでうろうろしている。

　太郎丸（仮名）と次郎丸（仮名）、彼らはお互いのことが大好きで、密着してころがっていることもある。

　そうすると、何ができるか。

　太郎丸（仮名）は尻を次郎丸（仮名）に押し付け、次郎丸（仮名）は大好きな兄の尻にこれ幸いとばかりにアゴをのせる。

　離れたところから見ると、でんと転がる太郎丸（仮名）の背中から次郎丸（仮名）の頭が生えているようにみえる。そのシルエットはかがみもちを想起させるもので、頭にミカンを置きたくなる（というか何度か置いた）。

　正月に関係なく現れる茶色いかがみもち。

　さわり心地もなかなか良いが、たまにぷすぅーと臭い屁をこくのが難点である。

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