第10話金髪美女2

ミアと俺は草で作られたベンチに座っていた。

「ごめんみんな悪い人じゃないの。ただ最近あった山火事でちょっと人間にシビアになっているだけなの」

最近あった山火事って…あれは違うよな。

「あーそうなんだ。それと何だけど君の名前ミアでいいのかな?」

ミアは何故か罰の悪そうな顔をして、思いきって応えた。

「そうだよ」

「めちゃくちゃいい名前何だから隠す必要ないと思うのに」

「そうかな?」

「そうだよ」


「それともう一つ。ミアって人間じゃないよね?」

「え?」

いや、そんな驚いた顔をしても、さっきまでの会話の流れを聞いていればアホでも分かるんだが。

「もしかしたらと思ってね。その青く澄んだ瞳がちょっと違うかなって」

ミアは少し間を置き観念した様にゆっくりと喋った。

「すごいな。何でも分かっちゃうんだね」

少し照れた様子で優しい表情を俺に向けた。

可愛い。

抱きしめてもいいかな? いいよね。

穏やかで優しい空気が俺達に流れていたが、森全体に響き渡る様な警報が発令された。


「どうしたんだ?」

ミアは血相を変えてどこかに消えてしまった。

「いったい何が?」


『人間だー! 人間が我々を殺しに来たぞー!!!』

どこか離れた場所からここに住んでいる住人から声が響き渡る。

その声と同時にライフルの様な発砲音がそこら中から響き渡り、悲鳴もあちこちで声が轟く。


おいおいあの悪夢の様な惨劇はいい加減に勘弁してくれよ。

俺のいる場所に羽の生えた血だらけの住人が目の前に突然現れた。それを追い込む様にライフルを持った男が一歩一歩と迫っていた。

「た…助けてくれ」

住人の懇願に全く応じる事もなく、引きがねをゆっくりと直前に俺は自分の意思とは全く関係なく身体が前に出ていた。


「お前何してる? っておいお前はこの間の奴じゃねーか」

この前の時は三人組でいたせいからなのか、今回は一人でいたせいもあり全然気付かなかったけど、確かにこの前俺に質問してきた奴に間違いがない。

「奇遇だね。また合うなんて」

正直に言って、俺の手は震えている。

もしもこいつが俺に発砲したら、間違いなく死ぬからだ。

「まぁ、そんな事はどうでもいい。俺はお前が何でそいつの前にいるのか聞いてるんだが?」

「それは…」

間違いない。

下手な事を口走ったら俺は死ぬ。

「お前こそ何でこいつの命を欲しいか答えろよ」


「それもそうだな。そいつの、エルフの血は高く売れる。だから俺はそいつらを殺しに来たんだよ。答えたぜ。次はお前の番だ」

どうする?

何て答える。

正直に話すか?

それとも。

「時間切れだよ。バ~カ」

男は俺に向かって引き金をひき、森全体に発砲音が鳴り響いた。


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