第8話異世界にきたんですけど5

「う・・・美味いなこれ」

 バニーガール持ってきた木の実を口の中に運んだのだが美味い。

 見た目は赤くてトマトみたいな色えで味は絶妙に甘くて、どこかの高級和菓子店の餅を食べているみたいだ。

 無我夢中で食べていて気づいたらバニーガールの姿は目の前にはいなかった。

 あれ夢なのか? 

 まぁ絶対にそれはない。

 お腹が完全に満たされているのだから。

 

 さてとついに人がる村か町でも行きますかね。

 先ほど、人間がここの山にいるという事は近くに人がいるという事。

 そしてさらに、あいつらが歩いて来たと思われる所は藪や草が足で踏まれているので露出している。

 その道を辿って行けば、無事に目的地に着けるという事だ。

 俺すごいだろう。探偵みたいだろう。

 自画自賛をしていたが、山の天気は急変するし暗くなったら危ないという事もあり俺は歩き出した。


「つ・・・つかねー!」

 全然目的地まで辿り着かない。

 確かにルート的には間違っていないとは思うのだが、ただ途中で藪や草の踏まれた形跡が消えていた。

 これは俺の勘なのだが、透明人間が使っていた【ディア】という魔法だが、あれはある程度魔力があれば誰でも使えることができる、下級魔法なのかも知れない。

 しかもひも完全に沈み真っ暗になっている。


「ん?」

 今そこの茂みが少し動いた様に見えたが気のせいか。俺は注意してそこを見ていると、また少しだが草が少し動いた。

 熊か? 

 それかこの世界にしか現れないモンスターか?

 とにかくだ、ここは威嚇したこう。

 やれる前にやる作戦を決行しなければならない。

「シャー!!!」

 大きな声で威嚇したら見たことがあるバニーガールの耳がぴょこんと姿を現した。


「大丈夫?」

 俺がさっき声を掛けた言葉をそのまま使ってきた。

 情けは人の為ならずという言葉があるが、あの言葉は人の為にしたら巡り巡りして自分に返ってくるというらしいが本当なんだな。

「大丈夫じゃないよ。完全にまよっちまったよ」

「しょうがない。私が案内してあげるよ」

「ありがとう」

 何かちょっとさっきより馴れ馴れしくなっているような気がするのだが、気のせいだろうが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る