第4話異世界に来たんですけど
「だ…れ…………け…」
囁く様に聞こえた声に反応し、俺は目を覚ました。
「おいおいなんだよこれ。何が起こってんだよ!!!」
目の前には燃え盛る炎が立ち上ぼり、火柱が起きていた。
右も左も、そして後ろも全てが辺り一面を燃やしていた。
いったいどうなって。
ただ立っているだけなのに、皮膚がヒリヒリし今にも火傷しそうな熱だ。
「た…助けてけれ」
と言いながら俺の目の前で人が倒れ炎に焼かれた。
「おいあんた大丈夫か?」
助かるはずのない事は分かっているが、人間の性なのか。
自分が着ていたボロボロのシャツを脱ぎ扇ぐが、炎は弱まる気配が一向になく、そのまま炎がその人を完全に燃やし尽くした。
炎の火力はは更に上がり、俺を中心に七つの火柱が燃え上がった。
「何故主は燃えていない?」
声の方向を振り向くと、一本の火柱が半分に割れ、頭には角が生え、赤髪に目は赤色、尻尾らしき物が見えて、好青年がコスプレしていた。
だがこの状況で分かる。
これはコミケではない事に。
ピりつく様な視線に身体中から汗が吹き出る。これはこの場所の気温が高いという事だけはないだろう。
さて何て答えるか?
ボケるかボケないか?
ただ救いなのは日本語? で喋っていると言う事だ。
「心は燃えてるんですけどねー」
「主この俺を馬鹿にしているのか?」
スベったー。完全にスベっちまった。
気を取り直して、正直に話そう。
「その質問はちょっと分かりませんけど、俺、目が覚めたらここにいて。それでどうすれば「ガハ」
「ほー頑丈だな」
話しの途中で背中に付いている尻尾をぶんまわし、俺の腹部へと直撃させ、何メートルかぶっ飛んだ。
強制的に仰向きになり、夜空が見える。
今の一撃で意識はあるが身体中から痛みが走り、足を動かす事が出来ない。
今の痛みで俺は確実に理解した。
この世界は現実で俺はもうすぐ死ぬのだと。
身体中から痛みが走るが、無理やり手を伸ばし星を掴むかの様に俺は願った。
「最後に最後にどうか気持ち良く死なせて下さい」と呟いた。
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