第2話天国から地獄へ②
自宅はもちろん差し押さえられていて、当然中に入ることはすらできなかった。働く場所と言っても、住所つまり住民票が無いと働く事が出来ない訳で、働く意思があったとしても、働く事が出来ないのだ。
完全に路頭に迷ってしまった。
五年前までは東京の高級ホテルの一室で牛乳を片手に夜景を眺めながら飲んでいたのに。
今じゃ水一本も貴重で中々買う事に躊躇してしまうほどだ。
刑務所から出所した時にわずかばかりのお金が支給される。これは刑務所の中で仕事をしたお給料だ。
ただし今の俺にはこのお金を使ったらもう完全にアウトの訳だ。
だからこそ悩んでしまう。
今日のご飯をどうするか?
さっきからお腹がずっと鳴っている。早く俺の胃袋に栄養を取り組んでくれよといわんばかりに。
俺は取り敢えず近くの公園に訪れた。
ここなら水はタダだから死ぬことはなし、屋根付きの遊具もあるから何とかしばらくは生きつなぐことは出来るだろう。
それから数日が経過した。
「腹減った」とひとり言を呟いても当然誰も助けなど来るはずもなく、その声は半円で真ん中に一本通路がある中に俺はいるんだと再認識するように声が響いた。
俺はこの中いいる事によって、近所からはここにヌシが潜んでいると話題になり、誰もよりつかず、俺の家へとなっていた。
だが一つだけ言えること。
このままだと俺は間違いなくこの日本で餓死をするということ。
それからさらに数日経つと、俺は仰向けになっていた。
あまりにも空腹でちょっとでも、動いたら腹が痛くなるので一番楽な体制をとっていた。
あー神様。
もしもこの世界に神様がいるのだとしたら、俺をどうかどうか救って欲しい。
だってそうだろう。
俺が何か悪いことをしたか? 何にもしてないし、むしろはめられた。
誰かがうちの会社の情報を流したからこうなってしまったんだ。
くそ―。せっかく美人美少女ハーレム軍団を作ってウハウハしようと思っていたのに。
『腹減ってねーか?』
今誰か喋ったか? あまりにも空腹のせいで幻聴が聞こえる。
『腹減ってねーか?』
あれ? また聞こえるけど、身体は腹が減り過ぎて動かせないし、声も出しただけで腹が痛くなってしまう。
『腹減ってねーか?』
『す…す……すいませんがここまで来て頂いてよろしいですか?』
通路口から足音が徐々に近付いてくる。
あー神様って本当にいたんですね。
ありがとう。
『ほら俺さ来たからもう大丈夫だ』
ちょっと方言まじりの髭を蓄えていて長髪の老人が、俺の口の中に温かい物を流し込んだ。
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