早速依頼二つ目だってよ
「本日は本当にありがとうございました」
「いえいえこちらこそ、初めての依頼をしていただき感謝していおります」
「いえいえ本当に、お陰で皆去年よりも体力を温存できましたし……夕方前に解散できそうです。本当にありがとうございました」
有難う飛び交う一階駐車場。
全ての楽器を運び終わったなんでもお助け相談会同好会は、現在吹奏楽部に挨拶をしているところだった。
因みに津島と柏村は二人して伸びている。先程の荷物を運び終わったばかりなのである。我鬼は二人の横でじっとしている。挨拶に交わる気はないようだ。
そんな中挨拶は終わり、吹奏楽部は徒歩で、顧問の先生は楽器の乗った車を運転して、コンサート会場へと向かって行った。
綿雪が三人の元へ戻ってきて声をかける。
「いやーお疲れ様。初めての依頼は成功だね。なによりなにより」
「そ、そうっすね」
柏村が返事をし、息をハアハアと吐きだした。まだ体力が回復しきっていないのである。
まあ、重いものを持ちながら一階と四階を何度も往復したのである。無理もない。と云うかこの妖怪二人が強すぎるだけである。
なんで先生と我鬼さんは平気なんだ。
と、人知れず柏村は思った。
そんな中綿雪は、「いやーお疲れ様。如何だった? 最初の依頼は?」と聞いて三人を見回す。
「もう二度とやりたくない……」
「意外と大変ですね」
「簡単すぎる」
右から津島、柏村、我鬼と、三者三様のコメントを残す生徒たち。その様子に綿雪はうんうんと頷き、一言。
「成程。まだまだやる気に満ち溢れているわけだね」
「僕のコメント聞いてた?」
ぼけた綿雪にすかさず津島のツッコミが飛ぶ。まったく聞いていなかったと思う。
「そんな君たちに吉報だ」
「無視? え、酷くない? 酷くない?」
と云うか吉報って……?
と、津島は疑問に思う。
肉まん奢ってくれるとか?
寒いのでそう期待したが、津島は綿雪が金銭的なものを持っていないことを思い出す。
どんな凶報が待っているのやら、この流れなら僕が皆に何か奢る流れかな。お小遣いもうあんまり無いんだけどなあ。
と、軽い考えをしていた津島。だが、それで済むはずはない。
「今日既に新しい依頼を受けて来たぞ」
「えっ」
いま一番聞きたくない言葉を聞いた津島は、その場で顔を引くつかせる。
「え、あ、それ、今日やるの?」
「うん? まあそうだね。本格的に動くのは金曜日のつもりだけれど、準備は今日からかな」
……今日水曜日なんですけど!?
と、心の中で津島は突っ込んだ。
「な、内容は……?」
なるべく楽なものでありますように、そう願いながら聞くと、綿雪は笑顔で返す。
「七不思議の調査と解決」
な、なんて?
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