第9話 知らない地帯が
「オト~」
「呼び方に気をつけろ」
「え~、そんなあ」
「私はあまり気にしないから、」
「別になんでもいいが」
私たちは、”オトの神様”のことを、
いつのまにか、「オト」と呼ぶようになっていた。
「オト~、私たちってどう集められてるの?」
「各世界からお前たちを集めている。」
「地球が4つにわかれていて、」
「世界がいくつもある状態から、」
「お前たちを適当に集めた。」
「ただそれだけだ。」
「……、」
「他に話はないか?」
「うん、大丈夫。」
「そうか」
「では、失礼する。」
「……、」
「ねぇ、みんなはどう思う?」
「え、なにが?」
「地球が4つにわかれていて、」
「世界がいくつもある状態から、」
「私たちが適当に集められてるってことについて。」
「……私は、違うと思う。」
「やっぱり?」
「ちゃんとした理由はないんだけど、」
「なんとなくっていうか、適当に集めてるってことは、」
「多分っていうか、絶対にないと思う。」
「まあ、世界にはたくさんの人が住んでるし、」
「奇跡的に私たちが選ばれたのもなんか変だし、」
「オトも、選ぶの大変だと思うんだよね」
「確かに」
「こんなにたくさんの人がいるなかで、」
「たった3人と選ぶなんて、」
「私には無理かなあ。」
「じゃあ、最近、みんなが変だなとか、」
「不思議だなって思ったこと、ある?」
「あ~、」
レノンは、一応、ある。
一応じゃなくても、ある。
でも、全然関係ないことな気がする。
「レノンは、ある?」
「……一応、ある。」
「じゃあ教えて!!」
「いや、教えても、全然関係ないことだから」
「とりあえず、言ってみて!」
「……最近ね、」
「朝、起きて、天気が晴れだったの。」
「うん」
「でも、外出たら、雪降ってたの」
「……逆のパターンもあった。」
「外出たら雪景色で、」
「自分の部屋の窓を見たら、」
「雨、降ってるの。」
「え、」
「あ、あとね……!」
「朝、起きてカーテン開けたら、」
「自分の部屋の窓見たら、晴れてたから、」
「今日は晴れかと思ってたら、」
「お母さんが、」
「先生が寒い中待ってるから出てみな」って言ったの。」
「それで、家出たら一面雪景色で。」
「でも、自分の部屋に戻ったら雨降ってた。」
「それ、私もあった!」
「私、気温が違う時あったな」
「ツバキはちょっと違うんだね」
「うん」
「理科の授業の時、」
「ノートに気温書いてって言われてたから、」
「朝、テレビで見た気温をそのまま書いたら、」
「全然気温が違った。」
「朝の気温でいいから、」
「天気予報見てきてねって言われてたの。」
「それで、ちゃんと見てきたのに……」
「メモまでしてきたのに、」
「違った。」
「え……、」
「全部、前の気温だったの。」
「だから、おかしいなって。」
「変なの……」
「話をしてもいいか」
「あ、オト!」
「この音楽のセカイの生活期限を、」
「言い忘れていた。」
「4月1日までだ。」
「じゃあ、だいたい1年くらい……?」
「エイプリルフールなんだね」
「4月1日の、午前までに帰れ。」
「わかった~」
「どうして、午前中までなの?」
「それは知らない。」
「オトも知らないことばっかり……、」
「なにも説明がなかったのだから、」
「別にいいだろ」
「でも~……、」
「わかったのならさっさと散れ」
「は~い」
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