第51話 人は、本来、素人作家の書いた小説は読まないものだ<2>



 過激な題をつけてしまったものだと思います。

 はい、少しは柔らかく聞こえるようにと、いろいろと考えました。(笑)


『人は誰しも、本来、素人作家の書いた小説は読まない』

『人は、本来、素人作家の書いた小説なんて読みたくないものです』

『人は、そもそも、素人作家の書いた小説は読まないものだ』


 少しでも柔らかく聞こえて、少しでも字数が少ない題が思いついたら、そちらにそっと差し替えようと思っています。


 あっ、それから前回の『小説賞に応募してみようかな……』と同様に、これもまた長い連載になるような予感がします。


 それで目次も小見出しを使って、読みやすいものにしようかとも考えています。


 <1>や<2>で並べてしまうと、書いている本人にも、どこにどんな内容で書いたのか、わからなくなってしまうので。こちらも題と同じく、書きながら試行錯誤でぼちぼちとやっていこうと思います。




 ところで、エッセイも小説と同じく、書きはじめは頭の中に書きたいことがいろいろと取っ散らかって、何から書き始めたらよいのか迷うところです。


 いまの私の頭の中も、ぶんぶんと羽音も高く汚物にたかる蠅のごとく、ではなかった、甘い蜜のある花に集まる蜂のごとく、たくさんのキーワードが飛び交っています。


 そのうえに、それらのキーワードには、何十年という垢がこびりついています。

 それらを思いつくままに、それでもなるべく整理しながら書いていきます。


 ……ということで、とりあえずのご挨拶も終わり、そのうえに字数も稼げましたので、最後は『人は、本来、素人作家の書いた小説は読まないものだ』の元ネタとなっている衝撃的な思い出話で、この回を締め括ることにします。




 ある日の純文同人誌の合評会でのこと。

 会場の入り口で、一人の男性の仲間に呼び止められました。


「〇〇さん、今日の同人誌、余分に持っていたら、一冊、売ってくれる?」

「あら、忘れたのですか? 持っていますよ」

「まあね、忘れたといえば忘れたかな」


 そして合評会も無事に終えて、その方とまたまた会場の入り口でばったりと……。


 そして、私は偶然にも見てしまったのですよ!

 その方が、2時間前に私から買ったばかりの真新しい同人誌を、廊下のゴミ箱に放り込んだのを!


 驚いて立ちすくんでしまった私の気配に気づいて、振り返ったその方は平然と言われました。


「もしかして、〇〇さん、これ要る? だったらあげるよ」

「あっ、いりません」

 

 で、私、その方の後ろ姿を見送ったのち、ゴミ箱から同人誌を拾い上げてバッグの中に仕舞いました。仲間(特に、主催者の先生)に知られたら、大変じゃないですか。


 でも私、その方の行為に驚きはしましたが、腹は立ちませんでした。

 ゴミ箱から同人誌を拾いながら、思ったのです。


「仲間のあまり面白くもない素人純文小説を読むのが苦痛なのは、私一人ではなかった。ただ、誰も、口に出して言わないだけだ」

 と、……。

 

 

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