第43話 小説賞に応募してみようかな……<8>
現代詩からちょっと覗いてみた俳句の世界を経て、今回は読書感想文です。
なぜ、読書感想文を書いて賞に応募してみたいと思ったのかというと、同人誌に合評会はつきもので、そこで他人さまの作品についてあれこれと自分の考えを述べます。
そのために、自分の読解力と批評力と語彙力を高めたかったから……。
ほんと、私って、気になり始めると、『毒を食わば皿まで』という例えのように、ずぶずぶに沼にハマってしまうタイプです。(笑)
昔々、地元新聞社が年に一度、小学生から大人までの読書感想文を募集していました。それで、今年はこの本を読み込んで応募すると決めて、1年がかりで書いた読書感想文を4~5回応募したでしょうか。
結果は最優秀賞が2回とあとは二席の優秀賞でした。
新聞社肝入りの行事でしたから、表彰式も立派なものでした。
学生さんの場合は当人の学生さんと指導の先生たちも列席していました。
新聞社の人と学校の先生が、「〇〇先生、××学校に転校されていたのですか」なんて会話されていましたから、読書感想文もスポーツと同じく指導次第なのだなあと思ったことです。
ところで、この表彰式では新聞社の文化部長が作品について講評を行うのが慣例でした。 ……が、ほんと信じられないことですが、彼は私の最優秀作品を列席者の前で罵倒したのですよ。
『私は、この作品を読書感想文とは認めません!』
そして、二席の優秀賞作品がどんなに素晴らしいか、長々と持論を展開し始めて……。
ほんと、この時も恥ずかしさと怒りで全身の血が引きました。
いまなら「あなたでは話になりません、社長を呼びなさい」くらい言えたかな。(笑)
ところでこの賞のおおもとは全国新聞社協会だったかで、県の最優秀作品は全国コンクールに自動的に送られます。
文化部長さんが「読書感想文ではない」と言い切って貶めた私の作品はなんとまあ入選して、一冊の本の中に収められました。
地方の新聞社としてはすごく晴れがましいことなので、以前の全国入賞者は顔写真つきで紹介されたこともあったのですが、でもでも、私には「おめでとうございます」の連絡すらなかったですね。
私ももう読書感想文についてはその真髄を見極めたと思い、それからは興味をなくしました。いまは新聞社主催の読書感想文コンクールそのものもなくなっています。
現代詩での表彰式といい、読書感想文での表彰式といいい、私ってなんて不運なのでしょう。
しかし、時を遡ってもう一度やり直せるとしても、私は同じ作品を書いて応募するでしょうね。
よいものであれ悪いものであれ、今までに読んだことがないと思ってもらえる作品を書くというのは、やはり、書くものの矜持だと思うのですよ。
……ということで、次回はやっと小説についての黒歴史公開となります。
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