第39話 小説賞に応募してみようかな……<4>
私の書く歴は、長男を出産した産婦人科のベッド上から始まりました。
「一人娘への期待が大きい母のもと、養子を迎え姓を継ぐ男の子も出産した……。さあ、これからは自分の人生を生きるぞ!」って。
しかしその後、母の一人娘への期待というものにゴールはないと知ったのですが、それはまた別の話ですね……。
長男を出産したあの日から、母から罵られつつ、あれこれと書き散らかしてきました。
恥多き人生の始まりです。
あの時代は、匿名で活動するのは不可能でした。
私の物書き趣味の遍歴は、またいつの日にか書いておきたいと思っています。
今回は書くという行為の道具の変遷です。
始まりはほぼ半世紀も昔のことですから、ネット環境などなく、辞書を横において原稿用紙に手書きです。
原稿用紙にもいろいろなタイプがあって、大きさもA4・A5・B4とかいろいろあって、罫線の色も緑と茶色があって。
1枚ずつばらのもあれば、50枚が束になったものもありました。
普通は400字詰めですが、200字詰めというのもありました。
もちろん、下書きは大学ノートとか広告の裏とか。
書き始める前に鉛筆5本を芯がぴんぴんに尖るほどに削るのは、一種の儀式でしたね。
そうそう、辞書も必需品でした。
いろいろな辞書を持っていましたが、一番役に立ったのは、地元新聞が応募していた読書感想文コンクールでもらった『実用字便覧』です。
当時の新聞記者さんが使っていたものだそうです。
漢字だけが大きく印字されていてコンパクトで、ほんとうに便利でした。
「あの漢字、どう書くのだったけ?」と思ったとき、さっと調べやすくていまも持っています。
国語辞典に漢和辞典、ことわざ慣用句辞典。意味から漢字や類字語を調べる辞書というのもあったような。でも、辞書を引くって、ほんとうに時間のかかる面倒な作業でした。
ワープロ(東芝のルポ)を手に入れたのは、あれはいつ頃だったでしょう。
腱鞘炎から解放されて、ほんとうに助かりました。
でも、漢字変換がいまいちだったので、やはり辞書は必需品です。
それに印刷がリボンで……。
あれがもうコスパ最低の代物で、清書が終わった原稿でしか印刷できませんでした。コピー機のある文具店通いは続きました。
パソコンを使い始めたのは、25年くらい前。
パソコンとプリンターと回線を引くのに23万円くらいかかったのですが、それが以前に買ったワープロ1台と同じ値段だったと心底驚いたものです。
当時のパソコンはすぐにフリーズするので、機械音痴の私は、そのたびに絶望の底に落ちました。
いまのパソコンは4台目。
フリーズなんてしたことないし、すぐに検索できるしで小説執筆にはとてもありがたいツールです。
ただ、あまりにも便利な機能がつきすぎて、いまだにクラウドというのが理解でいていなくて、ファイルをさがすのにも一苦労です。
それと漢字を調べたかっただけなのに、ついついネットの海でさまよい遊んでしまうことも多くて。
切実に、よそ見禁止の執筆専用のパソコンが欲しいです。(笑)
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