3-12
保護区画に戻った僕たちは全生徒たちを緊急招集して事態の説明を行うことになった。
なお説明は元生徒会長であった明美が行うことになる。
その間、僕はショッピングセンターに入り、新しいテナントやアップグレードされたテナントが無いかを確認していた。
その結果、期待通りというべきだろうか。
車屋に明らかに軍事車両と思われる車両や、見たことのない形状のバスが追加されていた。
軍事車両と思われると書いたが、中学生であれば誰もが知っている物であった。
戦車だ・・・
キャタピラ式の物もあれば、タイヤ式の物も売っているようだ
見たことのない形状のバスをしっかりと確認してみたところ、
水陸両用のバスのようだ。
これならばレプラコーン帝国沖合の島に転移した後はこれを利用すれば移動できる可能性が高いだろう。
物はアイテムボックスに入れれば運搬可能なわけだし、最軽量の重量にして移動すれば問題ないはずだ。
銃器ショップにおいてもアップグレードが起きていた。
暗視ゴーグルとかそこまでの便利なものは存在しなかったが、暗視スコープであれば取り扱われていた。
飲み物屋もアップグレード。
今までは初級ポーションのみがポーションで取り扱われていたが、中級ポーションも追加されている。
上級ポーションはヒーレニカを頼るしかないにしても中級ポーションを簡単に仕入れることができるようになったのはとても大きい。
アップグレードはこんなところだ。
しかし僕は違和感を感じていた。
あれからというもの、かなりの頻度で電器屋を確認するようにしている。
その時はアニメやバラエティとかが放映されていた。
しかし今は放映されていない。
いや・・・厳密には放映されてはいるのだが、どこかの廃墟のような映像ばかりが放映されている。
日本にいたころの世界の物を放映していたのであれば・・・
まさか・・・
と思いながらも言い知れぬ不安を抱えたまま、皆への報告の為僕は一度戻ることにした。
明美たちの説得により保護区画にいる2/3の生徒たちはこの戦いに積極参加してくれることになったようだ。
600人程度の参加ということになるが、それでも先の偵察に比べれば6倍の人数に増えていた。
これが初期状態である。
ショッピングセンターのアップグレードにより戦車を仕入れることができるようになったことを伝えると、現実的な選択肢と考えたのか200人程度がさらに加わることになった。
残りの100人程度は、今のところ保留と言ったところだ。
僕は早々に戦車を50台仕入れることにした。
軽く500億円相当がそれで吹っ飛んだ。
さすが軍事車両。価格の桁が違う。
この戦車の乗員は3名とされているので、150人近くがこれに乗ることになる。
平坦な道であれば最高時速は70km/hにも達する高機動性も持った車両だ。
流石にラン〇ルやハン〇ィーと比べると機動力が低いのは否めないが、
代わりに今までとは比較にならない火力と防御力を兼ね備えた車両だ。
旧レプラコーン帝国領における悪魔達との戦でも大いに役立つだろう。
そうして新たな戦力の使用とそれに伴う日本への帰還の道筋・・・正確にはその可能性の話ではあるがそれに沸き立つなか僕は愛理達を呼出し、懸念要素について話し合うことにした。
それは言うまでもなく電器屋でテレビが放映していた映像についてだ。
それまでは見知ったバラエティ番組やアニメといった類が放映されていたのに対して、ここにきていきなり廃墟などを映し出すようになったテレビの変化に対して伝えると、皆一様に不安な素振りを見せていた。
皆、僕の考えていることが分かっているのだ。
僕たちが帰るかもしれないと考えている日本、あるいはあの世界で何かが起きている
その可能性に誰もがすぐに行き当たっているがゆえに、話し合いは一気に重苦しい雰囲気に入っている。
「蓮司、いろいろな出来事が多かっただけに、殆どの内容を後回しにしてきたけれど、これは後回しにするべきでは無いと思うわ。
例えニセモノ呼ばわりされることになるとしても、スマホを使って回線がしっかりと繋がるかどうかを試しておくべきだと思うわ」
愛理は何かを覚悟したような表情でそう提案してきた。
いや・・・・きっと誰もが思っているはずだ。
僕たちが帰ることを目的の一つとして考えたあの日本は崩壊し、
とんでもない事態に事が展開しているのではないか?
そう思い当たっているはずだ。
事の真相を確かめるために、この話し合いは一度お開きとなった。
そして僕は皆からの依頼を受けて、再度ショッピングセンターへと入ることになる。
何も起きていないことを願いながら僕は日本にいたころの家族。
親へと連絡を取ることにした。
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