第2部 悪魔との出会い
3-9
とりあえず異形の人型の女性?と思われる存在と、話ができる程度には友好的に接触できるようになった僕は最初にお願いをしてみることにした。
「それでしたら、まず最初に仲間を呼んでもいいですか?
たぶんこのまま話し始めたら警戒している彼女たちが突撃してくるかもしれないので」
「あ、ああ。構わないぞ」
《愛理、涼音、明美。とりあえず友好的に接触ができた。合流できる?》
《それはいいけど、いきなり堂々と接近したからこっちはヒヤヒヤだったのよ!?
あとでお仕置よ!?》
と愛理が怒声が飛んでくる。
他の2人も似たような怒声を浴びせてくる。
心配かけたようで申し訳ない。
そうして待つこと10分ほど。
ハン〇ィーにて待機していた明美も合流した。
そして話し合いに移った。
「それでは改めて自己紹介させてもらいますね。
僕はレンジ・ニシカド。この国に住まう人間です。
一応基本は商人ですが、時折冒険者もやっています。
ここには一夜で滅んだという漁村の調査のために来ました」
「そしてこちらは僕の婚約者・・・というかハーレムの・・」
「アイリ・ハダガミよ」
「アケミ・アイカワ」
「スズネ・アカサカです」
それぞれが自己紹介をする。
「ふーん?おとなしそうな表情に見えて3人もの女の子を侍らすなんて・・
意外とやるのね?」
「えーと・・・」
3人じゃないんだけどな・・・
どう説明しようかと思っていると愛理が爆弾投下に入った。
「残念だけど私達3人だけじゃないわよ?彼のハーレムは私たちを含めて9人よ」
「9人!?」
あ・・・彼女の目がケダモノを見るような目に変わった。
うん。状況にズルズル流された僕が悪いのはわかってます。
でもそんな目で見ないでください。
僕のHPは100あるうちの10です・・・
「ま、まぁ色々あるだろうしそれは置いとくとしましょうか・・」
と彼女は言う。
「私はアンジェリカ・ダーチェ。なんとなく格好からわかるとは思うけど、悪魔族よ。
それからさっきレンジ?には伝えたけれど、これでも一応貴族よ」
「悪魔???それは一体・・・それにその貴族がいった何故こんなところで戦っているんです?」
彼女の説明によると
悪魔とはこことは、また違う世界に存在する生命体のようだ。
一応この世界と微弱な繋がりはあるのでポーションの類も知っており、効きは悪いが一応効くとのことだ。
日本のおとぎ話らしく、悪魔は聖属性魔法が苦手・・・というか弱点らしい。
それに伴い、回復を促すポーションはどうしても効きが悪くなるらしい。
ここに来ていた理由は婚約者の男性が権力抗争に負けそうになっており危険な状態なのだそうだ。
さっきまで戦っていた男性は敵対派閥の斥候。
繋がりが強化されたこの世界を征服することによって、悪魔族の権力抗争の中で、その権力を増大させようという狙いで来ていたそうだ。
彼女はそれを阻止して婚約者の手助けになればと思い、この地に赴き戦闘を行っていたとのことだ。
「それで?あなた達はどういう目的でここに来たの?」
僕たちは顔を見合わせて頷く。
「僕たちは先ほども伝えた通り漁村の調査のために来ていました。
ただゆくゆくは神聖レプラコーン帝国に赴こうと考えています。
僕たちは召喚魔法の詳細が知りたい。
その起源がそこにあるという情報を得ているんです。
漁村が滅んだ件と過去に帝国がこの地に侵攻を企てた件は無関係では無いと思い情報収集のために赴いたというわけです」
「なるほどね・・・理由は大まかに把握できたけど、なぜ召喚魔法を知りたいの?
あれは召喚魔法なんて格好いい名前がついているけど、言い換えれば誘拐魔法とでも言うべきものよ?それくらいわかるでしょう?」
「はい。それも承知しています。というか僕たちはある意味その魔法によって誘拐された人間ですから」
「なんですって!?」
「この国の隣にある・・いえかつてあった国が戦力増強のために僕たちを呼出したんです。その国は戦争を仕掛けて破れ、そして滅びました。
僕たちも当初は、『もうこの世界で生きていくしかない』と諦めていたのですが、ちょっと状況が変化したので召喚魔法を詳しく調べれば帰れる可能性があるかもしれないとの結論に至ったんです」
「はぁ・・・馬鹿なことをする国もあったもんね・・」
「全くです・・・」
「まぁでも・・・その馬鹿なことをした国に私は感謝するべきなのかしら?
そのおかげで貴方たちに助けられて、死にかけの状態からすらも助けてくれたわけだしね?」
と心にも思ってなさそうな表情でそう言う。
「もちろん冗談よ?」
「あ・・・あはははは・・」
僕は苦笑い、愛理達も微妙に不快感の混じった困惑顔だ。
しかし無理もないだろう。
僕たちからすれば誘拐じみた行動・・・いやはっきり言おう。
誘拐されて無理やり連れてこられたんだ。
その先で悪魔を1人?助けられたとしても、助けてほしいと願っている僕たちが助からないのでは大きな意味は無い。
そう思わざるを得ない。
「でも・・・そんなあなた達にこの情報は厳しいかもしれないけれど・・」
「???」
「そのレプラコーン帝国は滅んでいるわよ・・・」
「「「「!?」」」」
新たな急展開の情報に僕たちは驚愕するのであった。
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