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漁村迄の道のりはとても長い。
この世界での主な移動手段である馬車を使えば1か月近くも見込まなければならない距離となっている。
しかしそこは日本にいたころのアイテムチート。
車を使えば2~3日で着く距離だ。
いくら自動車そのものが基本的に馬車よりも快適に移動できるものであっても、一応軍事で使われることを想定したハン〇ィーだけで移動してれば気疲れする。
というわけで、その漁村の手前の村まではキャンピングカーを用意して移動することになった。
一部トラックなども用いている。
基本的に今回の遠征?ではバスは用いないことになった。
普通に考えてバスに2~3日揺られながらの移動は苦痛でしかない。
それゆえキャンピングカーを用意し使用することになったのだ。
トラックに関しては食料や武器・弾薬を載せて移動するために使っている。
大型のトラックを使用している。
大型トラックには車種によっては運転席のすぐ後ろのあたりに仮眠スペースとして使用できる空間がある車もある。
貨物鉄道や飛行機、輸送船を用いた運送で大量の物資を運んだり、超遠距離を僅か1日足らずで輸送できる日本の物流システムでも、駅や空港、港といった大きな拠点が必要とされる。
当然のことながらその拠点が配送先なんていう都合のいい展開は原則として多くない。
基本的にはその大きな拠点に一度運び込み、大型トラックを用いて物流センターに運び込み、中型~普通トラックを用いて各配送先に届けるのが、日本での主なやり方だ。大型トラックはその大きめの拠点からでも数時間はかかる距離を移動するため、ドライバーの負担軽減のために仮眠スペースをあの小さな運転席の空間に設けていることが多い。
なにはともあれ、基本、トラックを運転してくれる生徒は移動中の小休憩であればその空間で一休みという形をとる。
夜など本格的に眠る際にキャンピングカーへ移動してしっかりと休みを取る形を選んだわけだ。
公国内において、異世界から召喚された人間たちが使う摩訶不思議な物はすでに国内でも有名になっている。
そのため、道の途中でトラックやキャンピングカーが通り過ぎても、物珍し気な視線を向けられることはあるが、所詮そこまでだ。
公国の事情をある程度把握している者達ならば、その物が異世界から召喚された者、あるいはそれに所縁のある人物たちが使っている物であることは、今となっては周知の事実のとなっている。
それは人気のない道に潜む野盗たちにとっても同じことで、途中で一攫千金を狙った野党に狙われることがあったが、そこはほぼ無視して目の前に立ちふさがった者は容赦なく撥ねた。
1人2人を跳ねるだけで野盗たちのほとんどがすぐ戦意を喪失するので、後のことは残された野盗にお任せだ。
僕たちは聖人でもなければ神様でもない。悪の道に手を染めた者達を積極的に救い上げるだけの余力は無い。
いずれはそんな力も入ればいいなとは思うが、少なくともいまはそれだけの力はまだない。
ならば捨てざるを得ない存在だ。
そうして僕たちは3日弱かけて目的の村に到着した。
村はこの長期間の間厳戒態勢を引き続けた。
というよりも、辺境伯領の外れにあった街よりもピリピリした雰囲気になっている。
というのも村人たちは既に他の村に避難しており、ここには公国軍が駐留しているだけだ。
駐留している公国軍もあくまでも足止めや時間稼ぎを目的とした部隊であり、本格的に攻撃があった際に対応するための存在ではない。
何故かと言われれば、それは最初に事が始まった時までさかのぼる。
あの後村に駐留していた戦力の中で、騎馬隊を編成し緊急的に偵察を行った部隊がある。
10人程度で組まれた部隊でそこまで人数は多くないものの、馬に乗っている以上速度もそれ相応にある偵察部隊だ。
情報を持ち帰るだけならば簡単にやられる存在ではないし、その場で何かがあり帰れなくなる人がでたとしても1人2人の予定・・・という話のつもりだったらしい。
しかし偵察部隊は漁村に辿り着き、異形の人型と相対することになるなり、虐殺が始まったそうだ。
その異形の怪物は頭から角を生やし、背中には人の物とは思えぬ翼を生やしていたそうだ。
手の爪も人間とは違い、まるで鋭利な刃物にしか見えなかったそうだ。
偵察部隊は戦闘に秀でた隊員では無いとのことだ。
しかしそれでも一般市民よりは戦闘訓練を積んでいるだけあって、そこらの野盗程度であれば、怪我をすることはあっても殺されるようなことは無いし、相手に傷をつけることもできる程度の力はもった人たちだったそうだ。
しかし思わず剣を抜いて立ち向かおうにも、いつの間にか殺される隊員、辛うじて辿り着いて斬りつけても傷1つ付けられない強靭な肉体を持ったソレに直ぐに危険を感じて撤退に入ったそうだが・・・
逃げ帰る際にも次々と殺されて生き、残った最後の一人も腕を斬り飛ばされながら辛うじて帰還したそうだ。
あまりに悲惨な結果故に、それ以上は偵察隊を差し向けることはせず、あくまでも防衛に専念することになったそうだ。
とはいえ、いざ向こうから攻撃を仕掛けられたら足止めと時間稼ぎが限界だとわかっており、いつ死ぬか分からない状況なだけにピリピリとした雰囲気になってしまうのは致し方のないことだ。
そのため僕たちは村に着いて、僕たちも含めた偵察準備をすることになった。
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