幕章-6
話し合いはそれからも続き分からないことを考えるのはやめようという話になった。
しかし重大な脅威が迫っている可能性も考慮して動く必要があるだろうとの結論にも至っている。
明美が発言する。
「私たちが成すべきことは当面2つよ」
「2つ?」
僕は疑問に思って聞く。
「ええ、一つはその銃器ショップを私達でも使えるように登録の追加を行い、同時に私たちの・・・つまり保護区画にいる生徒たちに訓練させること」
里美が多くの者が抱いた疑問を投げかける。
「なぜでしょうか?」
「理由は簡単で、銃なんてものはこの世界には存在しない代物よ。そんなものをおいそれと渡してしまえば、大きな力を持ったと勘違いしたこの世界の人間が何をするか分かったものじゃないわ。確かにそれは私たち自身も言えることだけど、私たちには事前知識・・・と言って良いのかわからないけれど、それもあるからね。
そこまで大きな勘違いはしないでしょうね」
なるほど、知識を持たないがゆえに大きな力だと勘違いして世界征服とか考えられたらたまったものじゃない。
対して僕たちは銃が引き金を引くだけで人を簡単に殺せてしまうものだという認識は持っているが、それだけでは多勢に無勢では対応しきれないことも理解している。
「もう一つは蓮司のスキルを調べる事よ」
「僕のスキル?」
「蓮司のスキルは未だに不可解なことが多すぎるわ。
蓮司には今後しばらくはショッピングセンター内を物色して何か情報がないかを調べてほしい。
今の私たちには情報が少なすぎるもの。ならそれを得ることも重要じゃないかしら?」
なるほど言われてみれば確かにそうだ。
情報は防具にもなるし武器にもなる。
敵がどんな存在か、そして自分ができることは何か。
そういうものを知らなければ、これからどうしていくかも手だてを立てることはできない。
すでに敵がいるのかどうかすら分からない状態だ。
そのうえで自分が何をできる存在なのかすらも把握していないのであれば、何か有事のことが起きた際には対応できないだろう。
そうして僕はスキルのことについて調査してみることになった。
愛理・里美・絵里奈は早速銃器ショップを登録し、銃の入手を始めるそうだ。
普段の活動でも護身用として拳銃は使えるため早期で購入しておきたいとのこと。
明美は茜と涼音を連れて保護区画に向かった。
自分たちの伝手で信頼できる生徒たちをて初めて説得し、新たな脅威に備えていつでも訓練ができる状態にしておくのが目的だそうだ。
ヒーレニカもいつも通り薬草の入手に動いた。
といっても最近は美容に関するポーションを主流で作っていたが、再び回復系のポーションの作成に戻るそうだ。
新たな戦いの気配がし始めたが故の準備だそうだが・・・
エリクサーを100本作るとか息巻いていた・・
彼女もいろんな意味でこの集団に毒されている気がするのは気のせいなのだろうか・・・
レミリアは今回の話し合いの結果を公爵様に伝えてくるそうだ。
新たな戦いが起きるとなると、公爵家の力をいつでも使えるようにしておいた方が無難と判断してのことだ。
学校にも通っている身なので本来ならば翌日も学校に通うはずなのだが、
事の重要度が違うので明日は学校を休んで、公爵邸へと一時帰宅するそうだ。
夜には戻ると息巻いていたが・・・
お手柔らかにしてほしい・・
最後にリーチェだが、こちらは特にやることも無いので愛美の看病へと向かった。
色々と確執のある二人・・というか彼女だが、過去のことは一旦脇に置くことにしたようだ。
いまはハーレムメンバーとしてお互いに競い合っている状態だ。
そうして、それぞれがそれぞれの与えられた役割を果たす中で、大きな変化が一つ現れた。
愛美の体調についてだ。
平たく言えばおめでたであったそうだ。
吐き気を伴う体調不良が起きていた為、最近は聖女としての活動も停止していた彼女だが、もしやと思い先に妊娠していたアリシアに相談したところ症状が見事に合致。
その後自身で薬局に行き妊娠検査キットを使用したところ、見事に陽性だったそうだ
今は妊娠初期の為体型に変化は起きていないが、いずれはそれも顕著になるだろう。
男性の為、女性の妊娠には詳しくないが、概ね妊娠してから10か月くらいを平均として出産に至るようだ。
今は11月中旬だ。それならば出産時期は9月中旬前後を見込むことになるようだ。
なお件のアリシアは、今まで通り車での送迎を受けながら学校に通っている。
すでに公国内が勇者の婚約者として認識されており、同時に勇者の子供を身ごもっているということで公国はお祭り騒ぎになりかかっている。
そして愛美が妊娠したことによってハーレムの方も激化した。
ヒーレニカの作るホルモンを増加させるポーションというのは平たく言えば、女性らしい体つきを作りやすくするだけでなく、妊娠を誘発する薬ともいえる。
そのため、これを機にとポーションを飲んだ状態で情事に臨む女性が増えたことで、僕も余裕がなくなり、基本的にショッピングセンターでの調査が主流となっている。
調査がてら、冬を快適に越すために電器屋へと向かう。
そこで僕はとある違和感を覚えるのであった。
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