幕話-4
僕が訪れる予定の地域は公国の首都から結構離れた農村地帯だ。
そのの地域は麦を中心にしつつ様々な野菜を栽培しており、公国の食糧自給率に大きく貢献している地域と言える。
公爵様からの依頼では、最近作物の育ちが悪いとのことだ。
異世界の商品を取り寄せることができる僕になにか改善策はないのかという考えの元で派遣されることになった。
こういう問題の解決は難しい。
確かに僕のショッピングセンターの力を使えば、肥料を購入しそれで問題解決・・・という風にできるだろうと思う。
しかしそれはあくまでも一時的なその場しのぎにしかならず、恒久的な問題解決には至らないからだ。
その地における問題は栄養不足と水不足が言われている。
今回に限っては手っ取り早く済ませてしまおう。
僕はショッピングセンターに入りホームセンターで栄養剤と炭を購入しようとする。
しかしその時にショッピングセンターの新しいテナントが解放された。
『武器屋が解放されました』
見れば結構遠くの方にあるテナントのシャッターが上がり始めている。
気になって確認しに行くとそこにあったのは・・・
銃だ。それも拳銃をはじめとして軍用武器と思しきものも置かれている。
どういうことだ?ここは日本のショッピングセンターを基本にしているのではないのか?
しかし取り扱われている商品のほとんどは日本語表記の物だ。
一部そうじゃない物も置かれてはいるようだが・・・
武器ショップには弾薬も置かれていた。
しかし現段階ではこれはあまりにもオーバースペックすぎる武器だろう。
それを考えて現時点で購入するのはやめておくことにした。
幸いにも身を守るための防衛策として睡眠ポーションや脱力ポーションはまだ余っている。
あとは小麦粉を使った粉塵爆破を使えば敵が出てきたとしても倒せなくとも、時間稼ぎくらいはできるだろう。
僕はホームセンターの方へともどり、炭と栄養剤を購入する。
栄養剤は言うまでもなく、不足する土壌の栄養に対しての物だ。
炭は水はけを良くしたり、逆に保水能力を高めたりと、適切な水分量を保持するのに使えるはずだからだ。
公爵様からの相談ではこの2つが大きな問題とのことだ。
そのため保護区画にも行き、園芸部所属だった生徒に依頼して知識を公爵様に授けてほしいと伝えて承諾をもらえた。
生徒たちの知識を使って公国が発展していけばそれだけ生徒たちの評価も上がる。
ならば僕が間に立って知識を授けたりすることを考えるよりも、
あくまでも知識に長けた人材を紹介したほうがお互いの為になるだろうと考えた結果だ。
結果的に公爵様からは有益な知識を授けられたと感謝されていた。
本来生ごみにしかならないものを発酵させ続けることによって微生物が生まれ、それが野菜に対しての肥料になることは目から鱗がでるような気分だったそうだ。
また公爵様にお会いした際にスキルの方を再度確認してみたところ、スキルの状態に変化があった。
というのも乗り物・・・つまり車などの物に対しての状態の変化だ。
今までは僕が認めた人と、認められた人がさらに認めた人のみが扱える物だった。
しかし、そこに加えて僕が認めた人が、認めた道であればだれでも運転できるというものに変わっていた。
こうなると事情が大きく変わってくる。
例えば主要道路を公国内の事情に詳しい公爵様が使用を認めた道として認識する。
そうすることで、仮に人物として認められていなくても、僕が用意したバスやトラックの類を誰でも運転できるようになる。
これならば公国内の物流事情を大きく改善することができる。
普通に考えるならば荷馬車の類を経営している店舗の経営を圧迫してしまうところであるが、全ての道を認めてしまうと、犯罪に使われた際の収集が困難になる。
ならば主要幹線道路のみを認めることにするのだ。
そうすれば小さな脇道などに車を使って逃げ込もうとしたところで、その範囲に入った途端に車は動かなくなる。
そのうえで公爵様が認めた人が追跡をしているのであれば、その人たちは継続して脇道でも車を使った追跡ができるようになるわけだ。
そしてそういう脇道に荷物を届けたりという必要性はこのシステムを取り入れたところでなくなるわけでは無い。
だとすれば荷馬車の類は相変わらず必要だろうし、それこそ馬を使って今まで以上に早く個別に届ける物流システムを構築してしまえば、それはそれで付加価値が踏まれるというものだ。
僕はスキルのことと、可能性の話を公爵様にすると、大変喜んでいた。
というのも僕のスキルを使って洗剤や調味料の類を購入し届けるにしても、馬車の類は必要になるし、その分高くついてしまっていたそうだ。
しかしこのやり方ならば今までよりも低いコストでより早く物資を届けられるという事もあり、かなり期待値が高まっているそうだ。
それに伴い公爵様は更に洗剤や調味料類の購入数を上げてきた。
そして初級ポーションであれば気軽に入手できるようになったことも伝えると、それも大量に欲しいとのことだ。
なんでも自分の派閥に属している貴族に渡せば、忠誠をより確かな物にできる可能性が高いとのことだ。
そうして、もはや何度目か分からない公爵様との商談を終えて僕は屋敷に帰宅するのであった。
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