2-4-7
王国への反抗作戦が決まり僕たちはすぐに行動に出た。
ちなみにではあるが、公国軍の戦力も大半は僕たちで送り届けさせてもらうことにした。
一部は公国軍としての輸送力という事になる。
といっても先行偵察などを行う騎馬隊のみが、そのパターンだ。
そのためある意味独立戦力である僕たちと、公国軍兵士たちを移動させるためにすさまじい数のバスやトラックを用意した。
バスは言うまでもなく人員輸送、トラックも分かるはずだが食料などをはじめとする物資の輸送に対して使っている。
当然ではあるが公国軍兵士たちは驚いているようだった。
途中王国領の街の一つで軽い休憩をとることになったのだが移動速度が圧倒的に違う上にストレスも少ないとのことだ。
公国軍の兵士たちの移動手段は基本徒歩となる。
勿論馬車等も用意され大部隊を取りまとめる指揮官などは馬車に乗って移動している。
当然徒歩となるとそれ相応に疲れも出やすいし、そのうえでかなりの時間を要してしまう。
それに対して殆ど・・・というかほぼ全員が座った状態で移動できるバスはとてつもなく便利な代物としての認識であった。
加えて物資の輸送を行うトラックにも驚いていた。
普通は馬をたくさん用意しなければ大量の物資を運ぶことができないのに対して、
大型トラックを用意してしまえば1人でたくさんの物資を運ぶことができる。
それだけにとどまらなかった。
僕のスキルだ。
異世界にショッピングセンターを・・・どこでも開くことのできるスキルは、戦の概念をやはり大きく覆してしまうものであった。
それだけであればよかったのだが、保護区画で待機しているヒーレニカはもちろん、新しくハーレムに加わったレミリアともスキルの共有化ができていた為、二人はひたすらにショッピングセンターで食料品を買い集めてはアイテムボックスに入れている。
平たく言えば移動中も着々と物資が増えているという事だ。
敵としては堪ったものでは無いだろう。
敵の兵糧が尽きるのを待つのも戦略の一つでもある。
だが僕が生きていて、同時に僕たちがいるだけでその作戦をとっても意味がない・・
というよりも自分達の食料が先に尽きてしまうということになるのだから。
なお休憩に立ち寄った街で炊き出しを行い、地元住民にも食事を配ると、住民たちは積極的に王国の情報をくれた。
というのも王国の侵攻に対しては、最初は国の決定だからと沈黙を貫いてきたものの、敗北を繰り返す始末。
さらには長期化する戦争により税も著しく上がっており、住民の生活はままならないところまで落ちていたとのことだ。
中にはもともと貧しい家などでは餓死するひとも多く出ており、それに耐えられなくなった者たちが盗賊に身を堕としてしまうことも多々あり、
治安は悪化の一途を辿っているとのことであった。
行く先々で炊き出しを行い支援を行っていると、王国の住民たちは直ぐに警戒を解いてくれた。
長期間苦しい税を課し続ける王国、それに対して人道的な支援を続ける公国軍。
これではどちらにつきたくなるかなど言うまでもないことだ。
結果的に移動の最中は盗賊に襲われることはあっても、鉄の塊によって守られているバスやトラックにかなうわけもなく。
さらに警戒戦力としてところどころにいるラン〇ルによって盗賊も蹴散らされており、
行く先々の街では無血開城で受け入れられる形になる。
その移動の最中も僕たちは会議のようなことをしており方針を固めていた。
基本的に王国軍の対処はこれまでの『本来の作戦』通りに公国軍にお願いする形になった。
先の戦いにおいて捕縛された生徒の数から、残っている生徒は恐らく1人。
件の重川だけであるだろうとの結論が出ている。
これは単なる推論だけなく、攻め入ってきた生徒たちに対して尋問を行ったところ協力的だった生徒が話してくれたとのことだ。
重川は王国軍内部においての立場が危ういことになっているようだ。
重川が僕らのもとにやってきたのは元々、勇者である勇也君と聖女である愛美の拉致が目的だったそうで・・
その目的を果たせず、挙句の果てに僕たちにやられて逃げ帰った重川にそれまでの立ち位置は存在していなかったとのこと。
しかし重川が剣聖として強力な戦力であることは間違いないため、この侵攻が失敗に終われば公国軍が攻め入ってくることも王国は予想しており、その際の王城防衛戦力として最後のチャンスを与えられているとのことだ。
そうだとすれば重川も必死になってくるだろう。
それに加えて、重川は重度の火傷を負っており、その原因と思われるものに対してすさまじいほどの憎悪を抱えているとの報告もあったそうだ。
自分自身の行動がそのまま返ってきただけだというのに逆恨みするなど筋違いもいいところだが・・・
そのため本来であれば僕が担当になるところが、勇也君の担当になった。
理由は言うまでもなく勇也君の願いだ。
勇也君は重川を最後にもう一度説得する機会が欲しいと言っていた。
そしてその説得が敵わなければ自分が責任をもって斬り倒すとも。
そのため、勇也君には上級ポーションやエリクサーをふんだんに渡してアイテムボックスに収納。
一人で重川に立ち向かう形になった。
ちなみに愛美と愛理は僕についてくる形になった。
僕としては同じ危険な場所に連れて行きたくはなかったが、2人が一切聞き入れなかった。
他の子たちは聞き分けよく少し後方で待機してくれるそうだ。
そして僕らは王都へと侵入した。
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