2-2-β 女子会2
SIDE:幡上 愛理
私たちが本格的に王国によって無理やり戦わされてる生徒たちを保護し始めて数か月が経った。
私たちはそれまでの間に蓮司から多くの物を受け取りすぎた。
それらは既に私たちを堕とすには十分すぎる材料であった。
また絵里奈ちゃんのお姉さん。
生徒会長にして私とある意味同志の愛川 里美もハーレムに入った。
最初は妹を心配して入ったのだろうが、今では自身も魅入られている様子だ。
そして私たちは一番最初に保護した生徒たちにあることを言った。
私たちのハーレムを壊すなら全面戦争も辞さない。
『たった一人を除いて』・・・と
そしてそのたった一人も合流した。
鑑定の儀式で聖女を確認された、九条 愛美さんだ。
聞けば蓮司の幼馴染なのだという。
なるほど、彼と出会ったときから彼の心の中には一人の女子生徒がいるような気がしていた。
特に私を見ている時や、あとから合流した里美を見ている時にそういうのがあった。
多分胸が大きい子なんだろうな・・・と。
そしてそれは正解だった。
だが不正解だった部分もある。
私から見ても美人に思えるほどに端正整った容姿だったのだ。
それに蓮司の方は気づいていないみたいだけど、愛美は明確に彼に好意を抱いている。
いや、好意などとは生ぬるいだろう。
明確に彼を愛していた。
蓮司が王都から密かに追放されたときに救えなかった自分を責めたほどに。
しかし同じ家に住むようになってからは、蓮司に対してはある程度の遠慮はあったが、私たちには一切の遠慮がなかった。
当然ハーレムも壊しにやってきたぐらいだ。
尤も、私たちもそれを認めるつもりなど一切ないため全面戦争になった。
蓮司は心配していたようだが、水面下ではバチバチとすることも良くある話だ。
なるほど、これでは私たちは分が悪いと言わざるを得ない。
ただですら幼馴染というアドバンテージを持っているのだ。
ならば最早、遠慮や躊躇をしている場合ではない。
それは残りの3人も同じだったらしく一気に遠慮がなくなった。
残りの3人もネグリジェを用意して、蓮司を誘惑し始めた。
3人が私のやり方に追いつき始めたため、私は焦りを覚えて強引な方法に出た。
具体的には部屋に入るまではネグリジェを着た状態で入っていた。
そして部屋の中で服を脱ぎ、全裸で彼のベッドに入る。
彼が暴走し手を出したとしてもかまわない。
むしろ既成事実を先に作ってしまえばいい。
しかしここでトラブルが起きた。
ある日、明美が同衾のローテーションを守れず、私の時に突撃してきた。
その時私は当然全裸で、そこを見られたのだ。
そしてそれを見た明美は自分も負けじと全裸になって同衾をするようになった。
それでも蓮司は手を出すことはしなかった・・・出そうと思ったりはしたみたいだけど。
しかし女の勘だろうか。
愛美はそれも感じ取った。
流石に蓮司も愛美の変化に気づいたらしく、『全裸で寝るのはやめてくれ』と懇願していた。
それを見た彼女は絶望したような顔になってたけど。
でもそんな顔だったのは、ほんの一瞬で逆に闘志に火がついた様子であった。
どうにも彼女自身が今まで何らかの理由で距離を取っていた様子だ。
それだけに強い想いが爆発し、確固たる信念を持つようになったようだ。
「誰にも負けない!」と。
蓮司の言葉は返って私たちが不利になってしまった可能性がある。
尤も私たちのゴールはあくまでもハーレムの形成。
彼女のゴールは2人でゴールインするのが目的。
難易度としては彼女の方が上な分、私たちにはまだいくらかの分があるはずだ。
その頃になって私たちは公国首都に新しくできた蓮司の豪邸へと移り住んだ。
天神君が「夜中に大きな声を聞いて起きたくない」と言いながら蓮司との部屋を離したのを聞いた私たちは思わず顔を赤くした。
ここまでのことをしているのだ。
当然そうなる未来も想像したくなるし、それをもう一人の、男性の幼馴染に諭されているとなると恥ずかしい。
しかしここでも予想外のことが起きていた。
実はこの邸宅に移り住む際に、3人追加で女性が住むことになっていた。
このうち2人はレミリアとアリシア、公爵家の次女三女で双子だそうだ。
このうちレミリアの方は笑顔で聞いていて、アリシアは興味なさそうに無表情だった。
そして最後の一人がヒーレニカという女性だ。
どうにも蓮司が前から世話になっていたポーション職人・・・所謂薬師というやつだそうだ。
しかし年齢は20代前半といったところだろうか・・・
大人しそうな外見にそこそこ大きな胸、でありながらスレンダー体型といったところ。
別の好みのモデルにでもなれそうな人だ。
だが問題はそこではない。
天神君が理由を話した時、彼女も顔を赤らめていた・・・・
・・・・まさか!?
それに彼女と蓮司との関係性は私たちよりも古い。
まさかの強敵出現に私は戦慄した。
かくなるうえは強引な方法しかないのだろうか?
そんなことを思い始めていた。
しかし私たちは気づいていなかった。
王国がまだあきらめたわけじゃ無いことに。
そして王国最大の悪意が動き出し始めていたことに。
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