2-2-5
30分くらいした頃合いに、彼らは徐々にめを覚まし始めた。
と言っても腕や足は拘束させてもらっている。
目を覚ましたとたんに切りかかられでもしたらたまったものじゃない。
「ここは?なんで生きてんだ?」
「あれ・・・死んだはずじゃ・・?」
口々にそう言いあう生徒たち。
幡上先輩が全員に聞かせるように言う
「全員、お目覚めかしらね?」
「お前は!?」
元クラスメイトだろうか?知っている様子だ。
「久しぶりね。初めての人もいるだろうから先に自己紹介しておくわ。
私は幡上 愛理。3年生よ。といっても落ちこぼれの烙印を押されて兵士たちの性処理道具にされかけたところで逃げたけどね」
「人を殺して逃亡したって聞いてたけど・・・」
生徒たちの中の一人の女子が言う。
「あの王女・・・またそんな嘘を流してるのね」
とあきれた様子で幡上先輩が言う
「また?ってどういうこと?」
別の生徒が質問する。
「こっちにいる彼は、説明されたでしょうけど特別訓練を受けるのが嫌で、兵士を殺して王女を脅した罪で追放処分を受けたと、嘘の噂を流された『西門 蓮司』君よ。
実際には私と同じように無能の烙印押されて、問答無用で追放されたのが真実だけどね」
「そんな!?」
信じられないようだ・・・
「そんなに驚くようなことかしら?今は私たちが持ってる魔道具で外させてもらったけど、あなたたちはさっきまで首に何を着けられてたのかしら?」
「あ!・・・そういえば、なんか首元がすっきりしてると思ったら・・・」
「さて、単刀直入に言うわ。西門君は追放された後、別の国で商人として活動し、ある程度の成功を収めているの。西門君はその後、あなたたちも含めて一人でも多くの生徒を助けたいと思い、各方面に頭を下げてあなたたちを受け入れてもらえるように手筈を整えたわ。彼自身も今まで得た財産で私も含めて、あなたたちを保護しようと考えてる。
もちろんあなたたちが、今私たちが属している国家に対して反逆の意思を見せないことが最低条件よ。
できることならば今後もあなた達には他の生徒たちの解放に向けて協力してほしいところだけどね。
でもそこは義務じゃないわ」
「それは・・・でも、俺たちで生活できるのか?」
「もちろんいつまでたっても西門君の脛にかじりついているようでは、今度は私たちが保護のための一時施設から追い出すわ。
でも成果が上がらなくても頑張ってる人を見捨てるほど薄情な人ではないわよ、西門君は。
少なくとも結果こそがすべての、どこかの王女とは違うわ」
すでにほとんどの生徒が気持ち的に揺らいでいるようだ。
そしてここでダメ押しのアレだ。
「それに、あなた達は私たちを見て気づかないのかしら?」
と言いながら鎧を脱いで普段着に戻る幡上先輩。
「「「「「「「「「「!?!?!?」」」」」」」」」」
「・・・・なんでその服・・・まるで日本の・・」
「流石に気づいたみたいね。これは西門君のスキルの一つで、日本にいたころのものをある程度取り寄せられるのよ。この世界の通貨を使ってね。」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
「例えば、チョコレートとか、ケーキとか、炭酸飲料とか、洋服とか、お米とか、味噌とか・・・そういうの欲しくないの?西門君の庇護下に入るっていうのはそういうことよ?もちろん他の生徒の保護を含めて頑張った人には西門君はしっかりと評価してくれる人よ?」
「「「「「「「「「「欲しい!!!」」」」」」」」」
「あとはこれは女子の方にしか関係ないかもしれないけど、生理用品とか、痛み止めとか、あとは有名メーカーのシャンプーとかリンスとかトリートメントとか、ボディーソープも」
「「「「「!?」」」」」
「あーあと、あれ忘れてたわね。私たちは西門君が購入設置してくれた、温水洗浄のあるトイレとユニットバス・・もちろん浴槽付きね?あと洗濯機に冷蔵庫もあるからとても快適な生活なのよね。
ほら?王国にいたころは私の髪もゴワゴワだったけど、今はどうかしら?」
「「「「「「「「「「 !!!! 」」」」」」」」」」
「行きます!いや、行かせてください!」
「反逆なんてしません!」
「もう嫌!あの生活には耐えられない!」
「冒険者でも、保護の手伝いでもなんでもやりますから!」
「なんなら西門さんの奴隷でもいいので!」
!?
オイコラ!最後変なの混じってなかったか!?
思わず反論しようとしたが、それより先に幡上先輩が言葉を続けてしまった。
「いいわ。ただし、これは私たち3人からの条件。特に女子に対してよ」
「「「「「???」」」」」
「はっきり言うけど、私たち3人は西門君・・・いえ、蓮司君を愛しているわ」
「「「「「!!!」」」」」
「!?」
3人全員!?いや、夜這いをしてくるから、もしかしたらとは思っていたけれど・・・
「私たちは既にハーレムを形成することを容認してる。そして彼のハーレムは今後も増える可能性はあるわ」
!?
「だからこそ覚えておいてちょうだい。ハーレムの中に入る分には拒んだりはしない。けど私たちから蓮司君を奪おうとするなら、全面戦争になることは覚悟しておきなさい。仮にそれを許すとすれば1人だけよ。でもそれはあなた達じゃないわよ?
尤も、そうなったとしても私たちは引くつもりもないけどね」
「それじゃあある程度話も纏まったし、細かいことは、にし・・・蓮司君が個人資産で受け入れ施設を造ってあるから、そこに移動して・・・まずはお風呂に入ってもらうとしましょうか。
あとは皆でご飯を作って、食べながらにしましょう」
「「「「「お風呂!?」」」」」
「蓮司君、向こうに着いたら人数分バスローブを用意してくれるかしら?
取り急ぎ洋服を用意するにしても好みとかもあるし、すぐには用意できないから」
「わかりました」
「それじゃあ蓮司君、バスを出してくれるかしら?」
「「「「「「「「「バス!?」」」」」」」」」」
言われた通りアイテムボックスからバスを取り出す。
「それじゃあ乗りましょう?」
唖然としながら生徒たちはそれに続いた。
運転は僕がした。
というかやらせてもらった。
皆の視線が痛いです。
帰宅部の僕は、もう心のライフが5です。MAX100で考えてだよ?
そうして僕らは一時受け入れ施設に到着した。
浴室を見るなり、表情を変えて全員が突撃したのは言うまでもない。
その後は皆でご飯を作った。
もちろんお米が食べたいとのことで、炊飯器も買った。
大量に・・・
日本人はお米好き多いからね。仕方ないよね?
余談であるが、食後のケーキを見たときに、女子の一部が殺気立ったり泣き始めたりしたのであった。
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