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話し合いの後、スキルが解放された。
商人のスキルとは関係なかったが、商人のスキルとして解放したものの亜種のようなものだ。
全く関連性がゼロというわけでは無いだろう。
【親愛の絆】
一定以上の愛情で結ばれた者と、この世界の者が取得できる全てのスキルを共有できる。
また別の条件により共有化できる物がある場合は、その共有するスキルの上限を向上させる。
上限の向上条件は、どれだけ強い絆で結ばれるかとなる。
なんとも必要なタイミングで必要なものが出る、ご都合主義だ。
これじゃあ勇者じゃないけど、こっちの方が余程チートと言わざるを得ない。
だけど悪いことばかりじゃないだろう。
このスキルは間違いなく彼らを助けられる可能性を上げるのだから。
親愛の絆に鑑定を行ってみる。
共有対象:幡上 愛理
有栖川 里美
愛川 絵里奈
天神 勇也(隷属化状態により一時的に不可)
九条 愛美(隷属化状態により一時的に不可)
共有化スキル
・異世界のショッピングセンター(解放条件は別)
共有数:テナント2店舗。
・アイテムボックス(時間経過あり、時間経過なし)
・鑑定
!?
僕が驚いたのは共有対象の天神君と九条さんだ。
この2人がリストに出てくることは予想てきていた。
しかし、やはりとも思ってしまった。
勇者と聖女、どちらも強力なスキルだ。
あの王女がみすみす放置するとは思えない。
やはり隷属化されてしまっていたか・・・
必ず助ける!!!
そう誓いながら準備をすることにした。
まずは飲み物屋で初級ポーションを大量に購入する。
こちらは睡眠ポーションなどに変化させるものではなく、僕らで所有しておき今後保護した際に怪我をしている人がいたら、そちらに使う場合に備えてだ。
次にジム〇ーを追加で3台購入し、バスも購入する。
森の中で出くわし、無力化などが成功したとしても移動の足が無いと難しい。
僕がいま持っているジム〇ー一台だけでは対応できないことも出るだろう。
彼女ら3人ならなんとなく使い方はわかるはずだ。
ジム〇ーは森から出るところまで使用し、森から出たらバスを使用すればいいはずだ。
そしてホームセンターで有刺鉄線を購入する。
スキル等により強化されるであろう彼らに対してどこまで有効化は分からないが、何も無しよりはいいだろう。
次は公爵様に会いに行こう。
僕はラン〇ルを出して首都へ向かう。
一人だけなのだからジム〇ーでもいいかもと思ったが、前回ラン〇ルを使用しているから、こちらの方が見覚えがある可能性が大きい。
例に漏れずやはり騒ぎになってしまった。
しかし首都を守る城壁の門番が以前にラン〇ルを見ていたことと、その時に運転していたのが僕だったことを覚えていたらしく、公爵様の関係者ということで直ぐに通してくれた。
そしてそのまま公爵邸に到着する。
到着するなり、公爵邸の門番も慌ただしく動き直ぐに面会をしてもらえることになった。
「久しぶりだな、レンジ殿」
「お久しぶりです、公爵様、リリアーネット様」
「お待ちしておりましたわ。実は石鹸や化粧品がそろそろ切れそうで」
「こ、こら。レンジ殿にも用事があるのだぞ・・・」
「ですが・・・」
「構いませんよ、公爵様。あとになってしまいますが、石鹸や化粧品を多めに仕入れてきましょう。チョコレートの方も多めにしておきますのでご安心ください」
「まぁ!ありがとうございます!」
「むぅ・・・済まぬなレンジ殿。妻が我儘を言って」
「いえ・・・最近になって保護してる子たちに触れて、女性というのをなんとなくですが理解してきた部分もあるので、公爵様の気持ちや立場も理解できるようになりました。」
「レンジ殿・・・・!!!」
「あとで奥様には少しそれ関連で込み入った話をさせてもらってもいいですか?もちろん公爵様立ち合いのもとで大丈夫ですので」
「うむ!レンジ殿を信じておるからな!」
ハハハ・・大事にならなければいいけど。
「それで今日の用事なのですが、隷属化解除の方法についてはどうなりましたか?」
「うむ。ちょうどそろそろ早馬を出すかして渡さねばと思っていたところだ」
「渡す?とは?」
「隷属化の首輪はつまるところ魔道具だ。それゆえ解除の方法も魔道具だよりになる。ゆえにレンジ殿に解除の手段を渡すためには魔道具として渡す必要がある。もしここで隷属化の首輪そのものを渡すとなると大きな問題がいくつも立ちはだかったのだが、今回はその逆。
解除の魔道具であるからな。なんの問題も起きなかった。
それに加えてレンジ殿からの情報があったため、迎撃にあたる軍にも隷属化解除の魔道具を持たせることになった。
礼を言うぞ」
「いえ、こちらこそありがとうございます」
「しかしレンジ殿はこれからいかがなさるつもりかな?」
「僕はこれから個人で動こうと思います」
「個人・・・・・とは?」
「僕は冒険者活動もできなくはないですが、本業はあくまでも商人。
真正面からぶつかり合えば僕はすぐに負けるでしょう。
そうなると僕が取れる方法は奇襲によるものだけです。
卑怯と言われるかもしれませんが、そもそも卑劣な手段を取っているの王国ですから。
反論を受け入れるつもりはありません」
「ハッハッハ!!確かにそうであるな。しかし十二分に気を付けるのだぞ」
「はい。ありがとうございます」
「レンジ殿・・・いや、今だけはレンジ君と呼ぼう。
私も含めてではあるがレンジ君には幸せに生きてほしいと思うのだ。
もちろん君のスキルはかなり有用だ。
だが君のスキルが有用だというだけの話で、ここまで個人的に取り計らったりはしない。
それは君が対等な関係にある友人のようなものだと少なくとも私は思っている。
本当なら言い切りたいところだが、流石に20以上も年の離れた友人というのもおかしな話かもしれんから、こんな言い方しかできないが」
「・・・・・・・」
「どちらにせよ、君が死んだりしたら泣くものもこの世界には既に存在しているのだ。無茶・・・までは仕方ないとしても、無理はするなよ?」
まるで父親が子供を諭すように言ってくれる。
涙が出そうになるのをこらえてしっかりと返事をした。
「はい!!!」
それから僕は首都から領都へと向かう。
さあ、ここから王国と全面対決だ!
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