2-1-9

あの後、僕は宿に一度もどり休みを取った。

ちなみに今回の購入物で再び莫大な利益が入っている。

今回は洗剤類が大きかったため、6億くらい手に入っている。

ポーション大量注文による損失を補填できる金額だ。


その翌日に僕はジム〇ーにのって街へと帰還する。

事のあらましを辺境伯様に話した結果、この街の住人は避難することになる可能性が高いことも伝えておいた。

ちなみに、僕が保護した3人の女子生徒にも同じことを説明してある。


だが家のことはまだ話していない。

現在の段階ではまだ分からないことだからね。

その後、話は彼女たち自身のことになった。

僕から言い出したわけでは無い。

彼女たちからだ。


皆を代表してか幡上先輩が言う

「ねえ、にし・・・蓮司君。領都に着いたら私たちも冒険者になれるかな?」

「・・・・なぜですか?」


「確かに蓮司君は私たちを保護してくれた。そしてこれからもそれを覆したりはしないと思う。でも何時までも頼ってばかりは嫌なの。私たち自身も自立できるようになりたい。自分の親の世代に頼るならわかるけれど、ほとんど年齢の変わらない。

まして私や有栖川さんからすれば年下の男の子に、この年から養われるのは流石に抵抗があるのよ。

くだらないかもしれないけど、年上としてのプライドみたいなものよ」


言われて気づいた。

確かに僕は彼女たちの命を救い保護している。

しかし、彼女たちの心まで救ったわけでは無いのだ。

僕もロッサリーさんに命を救われたが、もしスキルがなかったら?

おそらく絶望し生きる意味を失っていただろう。

彼女たちは今同じような状態になってきているのかもしれない。

ならば、頑張る意味、生きる意味を与えるべきなのかもしれない。


「わかりました。ただし条件があります。しっかりとした装備を整えること。またポーションを持ち歩くようにすること。その費用は僕が出します。

これが条件です」


「そんな・・・悪いわよ」

遠慮する先輩にかぶせるようにして言う。


「失礼かもしれませんが、僕は先輩たちをみすみす死なせるために助けたわけじゃ無い。真っ当に生きられるならばそっちのほうがいいから助けたんです。だから条件を吞んでください」


「・・・その言い方はずるいわ。これで反対したらただの薄情者じゃないの。」


そうして僕は彼女たちと共に買い物に出かけた。

目的は言うまでもなく彼女たちの装備を揃えるためだ。

その後は一人でショッピングセンターに行き、初級ポーションを購入する。

本数は15本。一人5本持てば十分だろう。


「あと、先輩。冒険者をやるなら領都についてから登録した方がいいですよ。」

「なぜ?」


「実はこの街は近々一般市民を全員退避させる可能性が高まっています。

しかしこの世界の冒険者は国を超えた組織ではなく半分国家機関のようなものですから、王国との戦争に駆り出される可能性もあります。そうなると・・・」


「なるほどね。可能性の話だけど同級生と殺し合いをする可能性すら出てくる・・・」

「はい」


「わかったわ。そうしておく」

「あと近々家が手に入る可能性があります。もともと購入する予定でしたが、ちょっと公爵様に恩を売る機会がありまして、その恩賞で家をもらえる予定です。

もしかしたら屋敷の規模かもしれませんが・・・」


「相変わらず非常識なことをしてるのね・・・」

「・・・・・・・・・・・」


そうして過ごしていると、やはり辺境伯様から密かにではあったが退避の指示があった。

僕たちは領都に向かうことになった。



余談であるが、公爵様に渡したエリクサーは無事に息子さんが飲んだようで、右腕を再生できたそうだ。

そのため僕に対する恩賞も払われる予定で、公爵様は気合を入れて家を探している、と辺境伯様が言っていた。

それにどうやら公爵様が家として招待したいとのことも。


おそらく近々戦争が始まることは避けられないだろう。

そうなる前に一度行っておくのもいいことかもしれない。

そう考えた僕は辺境伯様の屋敷に行き、門番の人に伝言を頼んだ。

『例の件を引き受けたい』と言っておいた。


しかし公爵様に会うとなるとお土産がまた必要になる。

ここは豪華に奮発して買ってみるとしよう。


まずはお菓子屋に行って、チョコレートとケーキを購入する。

そして、こちらは既にあるだろうが、紅茶の茶葉を購入する。

あとは女系の家だということだし、有名メーカーのシャンプーとリンス、ボディーソープにトリートメントを購入。

化粧水と乳液も購入した。


やりすぎだろうか?

よくわからないがこれくらいでいいだろう。


お土産も買ったため辺境伯にコンタクトを取ってみることにした。

すると前回同様に公爵様は辺境伯領に来ているとのこと。

加えて、領で僕の家として使えそうな家を購入したとのことだ。


本当に買ったんですね・・・公爵様・・


せっかくなので日付を合わせてそちらで鍵渡しと面会をしようという話になった。

せっかく貰えるわけだし家をもらったら、かいぞ・・・いや改装しようか。

トイレにバスユニットに洗濯機に・・・

着けたいものが沢山ある。

それに人目に触れないところに携帯電源も置いておきたい。


いろいろな使い道を考えながらその日を待った。

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