第2章 王国戦争編

第1部 不穏な影

2-1-1

王国に召喚され異世界にやってきてから2か月が経とうとしている。

僕は最初の街に戻ってきており、基本的に冒険者活動をする傍らのんびりと過ごす日々を送っている。


そんな時に商人ギルドに呼び出されたため向かう。

ファスペル辺境伯が僕に速達でなおかつ、受け取り人確認の手紙を送ってきた。

その受け渡しの為だったようだ。


一般市民同士や商人であれば商人ギルドからは知らせが届く程度で、呼び出しがかかることはない。

だが相手が領主様となると話は別のようだ。


受け取りサインをして手紙をもらい、宿に戻って読む。


ファスペル辺境伯はアーガスト王国との国境に位置する、いわば王国と戦争になった時の防衛ラインとなる。

そのため王国に対して隠密を放っており情報収集を常にやっているそうだ。


そしてその隠密から火急の知らせが届いたとのこと。

いよいよ王国が進軍準備に入ったそうだ。

具体的に軍を展開しているわけでは無いが、王国上層部では公国に対して戦争を仕掛けることが決定しており、既に軍に対して物資の確保などあらゆる命令が成されているとのことだった。


そうなると僕も準備する必要がある。

幸いにも僕にはこないだスタンピードを食い止めるにに有効な一手を打った報奨として資金が沢山ある。

そうとなれば新しい車を確保したほうがいいだろう。


たしかにラン〇ルは丈夫だが大きい。

森の中では、仮に木々の間を抜けるにしてもあの巨体はかなり無理があるだろう。

そうなると一回り小さいオフロード車を購入する必要がある。


そしてショッピングセンターに入った時にあの音が聞こえる。

ステータスを確認すると

『貢献度が満たされました。条件を満たしました。』

『ショッピングセンターの機能が一部解放されました』

『ホームセンターを解放します』

『お茶屋を解放します』

『お菓子屋を解放します』

『電気屋を解放します』

と表示されていた。


一気に4店舗も・・・。

どうやらスタンピードの功績が大きかったようだ。

1店舗くらいは解放されるだろうと踏んではいたが、まさかの4店舗とは。


解放された店舗の確認は後回しにしてまずはディーラーへと向かう。

今回購入するのはス〇キのジム〇ーという車種だ。

この車種にはシ〇ラという車種があるらしい。

パワーとしてはシ〇ラの方が上とのことしかしサイズは少し大きくなるそうだ。

なのでノーマルのジム〇ーを購入することにした。


車をアイテムボックスにしまう。


つぎは解放された店舗の確認だ。

ホームセンターはDIYをすれば立派な家ができそうな材料がそろっている。

他に自転車も売られているようだ。

マウンテンバイクであれば今後の需要は見込めるだろう。

そう思いこちらも購入する。


お茶屋というのは茶葉を売っているようだ。

違う気もするのだが、コーヒー豆もなぜか置いてあった。

コーヒーを豆から粉にするにはミルという器具が必要なのだそうだが、こちらも置いてある。

飲めるようにするためだろうか・・・

まあ僕の場合は多分飲み物屋で買って終わりだろう。


菓子屋には一般的なお菓子からケーキに至るまで、お菓子と呼べるものなら何でも置いてあった。

貴族に会うときに手土産がない状態では失礼に当たるだろう。

今まであっておきながら何も手土産が無かったファスペル辺境伯には今度時間を見つけて渡そう。


最後に電気屋だ。

こちらは家電量販店的な感じだった。

ただ一部携帯の大型電源も置いてあった。

どうやら購入すると店内で充電ができるようだ。

充電にもお金は必要のようだが大銅貨とかそのクラスの費用の為、60億近い金額を持つ僕はそんなに痛手じゃない。


そう考えたときに、一つ思い当たった。

スマホだ。

この世界に来てから使用用途もなかったが、せっかくなので持ってるだけでなくカメラも使えるようにしておこう。

辺境伯様であれば異世界の最新器具ということで説明できるだろうし、何かあった時に便利だ。

そう考えた僕はスマホを充電器に差し込み、お金を投入する。

あとは放置しておけば充電されるだろう。


しかしショッピングセンターの機能開放とはいったい何だろう。

そう思いながらポーションの材料を購入するために花屋に向かう。

スタンピードで拠出したため僕の手持ちは以前の初級16と中級5だけだ。

王国との全面戦争の可能性が一気に高まった以上は、スタンピード以上の種類で揃えておく必要があるだろう。


そう思って花屋に入ると。

以前見かけなかった薬草を見かける。


なんか光ってるんだけど・・・


そう思いながら鑑定を用いる。


【聖草】

異世界の草。とても希少で上級ポーションを材料にしながらポーションを作成するとエリクサーが出来上がる。


つづいてエリクサーという言葉に鑑定をかけてみる。

【エリクサー】

ありとあらゆる傷を癒す霊薬。部位欠損からも回復させることができる。



うげ・・・とんでもないオーバースペック。

上級ポーションにしたって費用が掛かるだけで材料に関しては、僕の場合は簡単にそろう。

ということはおそらく、エリクサーも金額が高いだけで材料は揃うのだろう。


しかし一部機能開放か・・・

ということは他の既存の店舗でもこの世界の、つまり地球には無かったものが追加されている可能性がある。

そう思い調べた結果。

なんと初級ポーションが飲み物屋で購入できるようになっていた。

銀貨1枚という高さは健在だが、簡単に手に入るなら、ヒーレニカさんには中級ポーションと上級ポーションの作成依頼に限ることができる。

そしてその場合エリクサーも・・・・・


いや、そこまで考えるのはやめておこう。

必要になったらにしよう。


その後初級ポーションを1000本と、今度辺境伯様に会った時のことを考えてお菓子屋でチョコレートの箱を大量に購入し空間から出る。


これからのことを考えながら一日が過ぎたのだった。

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