1-6-6
飲み物屋に入り僕は水を購入した。
とりあえずは2ℓを1本でいいだろう。
確かにスタンピードの際も安全な水や食料品は必要になるだろう。
他にも用途はたくさんあるはずだ。
それに加えて今の僕には時間経過なしのアイテムボックスもあることだ。
確かに飲み切れないほどあったとしても困ることは無いだろう。
しかし、スピードを優先する以上は使えるものであるかを確認し、使えるならば大量に今すぐ購入という形にすればいい。
逆にポーション作成には使えないのであれば、1日2日くらいは後回しにしても大した影響は受けないだろう。
そう思いながら購入した2ℓの水をもってすぐに戻り、彼女に見せる。
彼女はそれを何かに入れて視ていた。
おそらく薬師として鑑定道具のようなものだろう。
そして見終わった彼女はこれは不純物がないためすぐにそのまま使える、と言ってきた。
予想通りだ。
若干呆れた表情をしながら――そっちは予想してなかった・・・解せぬ。
この水があればポーション作成において一番時間のかかる事前準備を飛ばすことができるため、かなりのスピードアップができるとのことだった。
具体的には今までのペースで言ったら、全て作り終えるまでに1か月以上はかかるのに対して1週間くらいに短縮できるそうだ。
その言葉を聞いた僕は、その水代も僕の方で持つからスピードを優先してほしいことを伝えて、購入した。
アイテムボックスがあって助かった。
無ければとても重いものを何十往復とやって運ぶ羽目になっていただろう。
事実上元帰宅部の僕にはつらい重労働だ。
1週間後にアイテムボックスを見させてもらうので、そこに仲介書と現物を入れておいてほしいことを伝えて店をでる。
そして明日はいよいよアビー達と領都へ向かう日だ。
購入した車はアイテムボックスで保管するとは言え今のうちに購入しておいた方がいいだろう。
しかし僕の前の世界の物をみせるとなると、彼女らにも異世界から転移してきたことは話さなくてはいけない。
召喚された落ちこぼれであることは隠していても筋道はなんとか通るだろう。
僕は宿に戻りそのままショッピングセンターのディーラーへ入ることにした。
一口でディーラーと称したそれは日本のように各メーカーで分かれているわけでは無かった。
一つの店舗で複数のメーカーが入っているような状態であった。
分かりやすく言うと中古車販売店のようなものだ。
ここで僕は購入する車について考えた。
この世界は日本の街並みのように多くの道が舗装され快適に走ることのできる道ではない。
となると悪路を走ることを想定した車を購入するべきだろう。
加えておいおい、アーガスト王国との対決においても使用が想定される。
そうなるとボディ自体や車の骨組みなども比較的頑丈なものを選ぶのが好ましいだろう。
そうなると排気量を小さく済ませるために、車体を軽くし、頑丈さを犠牲にしている軽自動車と呼ばれるものは避けた方がいいだろう。
あとは一般的に乗用車などと呼ばれているものや、それこそオフロード車と呼ばれている物が好ましい。
速さを考えるならば悪路を走ることも想定したラリーカーでも使用されることのあるスポーツカーがいいだろうが、何分速さと悪路の走破性能を両立しようとしているため広さが十分とは言えない。
そうなるとずんぐりとしたフォルムでいいから悪路の走破性能一択で車を選んだ。
トヨ〇が作っている車で有名な車、ラン〇ルの名称で親しまれている車にした。
高いバージョンを求めているわけでは無いので、一番バージョンが低いものを選んだ。
価格は小金貨6枚ほど、600万円相当だ。
この車なら悪路だけでなく水深の浅い、浅瀬くらいならば問題なく走破できるはずだ。
たしか自転車もそうだったはずだけれども、タイヤはある程度回さないと急速に空気圧が抜けていくはずだ。
時間経過ありに入れてしまうと、いざ使おうとしたときに空気が抜けていて本来の性能が発揮されないと困ってしまう。
なので購入した車は時間経過なしのアイテムボックスにいれることにした。
おそらくこの車は、領都への移動、そして王国の対処だけでなくスタンピードでもある程度使えることだろうと思う。
領都に行って再度辺境伯様に唐辛子を使った戦い方の有益性を説き、そして現地の冒険者ギルドや商人ギルドを巻き込んで早急に準備を整える必要がある。
そうなるというほどの時間的な猶予が残されているわけでは無い。
そう考えた僕は明日一番に動けるようにするために今日は早めに休むことにした。
※ちょっと説明
・視るという言葉は誤字ではなくあえてこの言葉を使うことにしました。注視するという意味合いです。
・厳密なところ軽自動車・コンパクトカー・セダン・ミニバン・ワンボックスなどの種類があるのは知ってますが、にわか知識の高校生がしっているとは思えず、あえて細かくは分からない振りみたいな書き方をしてます。(なら走破性能なんてことば使っていいのか迷ってます)
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