1-3-9

塩と胡椒を初めて卸した日から1週間が経った。

なので今日は再度商人ギルドに行って商品を卸す日だ。


宿の代金は昨日の宿泊分までしか払ってないため朝食分を追加で払う。

また追加で1週間分の支払いも済ませる。

勿論、体を拭く桶の代金も払っておく。


2週間分払おうかと一瞬考えもしたが、必ずしもずっとここに居るわけではない。

何かあれば別の町に行く可能性もあるのだ。

当面は1週間分を払い続ければいいだろうと考えた。


さっそく商人ギルドに向かう。

到着しギルドカードを提示するなり、すぐに個室に通された。

今回もギルドマスター:エコラックさんが立ち会うようだ。


「早速で悪いが、今日も塩と胡椒を持ってきてくれたのか」

「はい。胡椒300gと品質の高い塩1kg、それから粗めの塩を10㎏持ってきました」


ギルドマスターは驚きながら

「おお!庶民向けの塩も持ってきてくれたか。それにしても10kgとは助かるな。

それじゃあその塩の価格についてだがまずは現物を見せてほしいのと味見させてほしい」


僕は言われた通り粗めの塩と、前にも卸したサラサラの塩と胡椒を出した。

エコラックさんは粗めの塩を一つまみ取り、味見する。

「うむ。たしかに粗い部分があるし味としても少し雑味があるように思えるが、庶民向けの塩だな」

と納得した様子だった。


「それじゃあ価格についてだが、これも銀貨10枚でどうだ?」


意外に高評価で高価格で買い取ってくれようとしている。

しかし街の経済が活性化してくれないと僕自身のダメージもある。

それに収入が少し減ってしまったとしても主力は貴族向けの塩と胡椒だ。

お小遣い稼ぎ程度と考えれば痛くはない。


何よりここで好印象を与えておけば、今後何かしらの問題に巻き込まれてもギルドとして保護してくれたり融通を聞かせてくれる可能性が高まる。


「いえ。こちらの塩に関しては一般市民の方の助けになっていただきたいので10kgで銀貨5枚で買い取っていただければと思っております」


エコラックさんは一瞬驚いた様子のあとに、フッと笑い

「そうかそうか!そりゃあ助かるってもんだ。分かった。

ギルドとしてもその善意を無駄にしないと誓おう。

安く卸してくれた分、食事処などにはしっかり安く仕入れができるように手筈を整えよう」


お願いしますと伝えて代金の支払いになる。

今回は前の銀貨20枚に加えて、銀貨5枚。

計銀貨25枚だ。

原価は小銀貨3枚に大銅貨5枚だ。

相変わらず粗利が多く得られる。


「それじゃあまた来週にな。次もこの粗い塩を卸してくれるのか?」

「ええ。そのつもりです。」

「そうかなら次からは担当官に任せることにしよう。何か変更があれば言ってくれ。その時は俺が対応するからな。」

「よろしくお願いします」




そう言って僕は商業ギルドを後にした。

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