1-3-8
翌朝
朝食を食べた僕は宿屋の人に聞いてみることにした。
昨日、体を拭いた際にそれまで来ていた服を脱いだわけだが、どこで洗濯すればいいのか分からなかった。
一通り街中を見てみた限りでは洗濯屋のようなものは存在していなかったからだ。
宿屋の店員は
「洗濯屋なんてものは、この町には無いよ。領都に行けばあるだろうが、ファスペル辺境伯領の片隅だからねぇ。
裏手に水汲み場と桶があるからそこで服を自分で洗いな。
石鹸は1個大銅貨1枚で売ってるよ」
マジか・・・
自分で手洗いか。しかも石鹸も1個100円くらい。
まぁ親の手伝いでコインランドリーに行った時も石鹸は別途有料だったしな。
仕方ないか。
若干落胆しながらも頷いて、石鹸を購入した。
その後汚れた洋服を以て裏手に行き、桶に水をためて洗い始めた。
しかし全然泡立たない・・・
おまけに水に少し浸してこすってみると、やたらザラザラした感触が伝わってくる。
こんなんで100円もするのか・・・
某100円ショップの洗濯洗剤の方が優秀なんじゃないのか?
それでも今はこれしかないのだから我慢するしかない。
そう思いながらダメージをなるべく与えないようにしながら洗った。
僕が思っていたほど綺麗に洗えたわけではなかったが、それでも嫌な汗のにおいなどは取れていてとりあえずは納得することにした。
そんなこんなをやっていたらあっと言う間にお昼になっていた。
昼食を食べに外出する。やはり小銀貨1枚くらい使ってしまった。
戻ってきてベッドに横になると眠気が襲ってくる。
夕食を寝過ごすわけにはいかないので、ここらで昼寝することにした。
その後は夕食の時間になりご飯を食べてゆっくりとした。
思えば異世界に召喚されて右も左も分からない状態で王都を追放されてからというものの、丸1日休んだりすることなく毎日何かしらの動きをしていた。
ロッサリーさんに助けられ、エコラックさんに心配されたりと何かとこの世界の人たちのお世話になった今となっては、
あの王女に何が何でも復讐してやりたいという気持ちはほとんどない。
まぁ偶然出会ったら一発ぐらいは殴ってやりたいが。
そんなこんなで慌ただしい生活を送っていた僕はまともに休んだ記憶がなかった。
次の納品まではだいぶ日数もあることだし、お金もそこまで余裕がないわけじゃ無い。
どんなに低くても前回の20万円相当くらいは、また稼げるだろうし、うまく交渉できれば5万円相当も追加で入手できるかもしれない。
ならばこの機会だ、一度ゆっくりと・・・しっかりと休んでおいてもいいだろう。
そう思った僕は明日から納品の日まではゆっくり休もうと考えて眠りについたのだった。
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