1-3-6

街の中に出る。

今日の目的は5セットくらいの洋服の予備と、それらを入れることができ、同時に商売にも使えるリュックを手に入れることだ。

まずは雑貨屋に足を運んでみることにする。


アーガスト王国で立ち寄った雑貨屋よりは明るい雰囲気であり当時に賑わってもいる。

しかしあくまでも雑貨屋だ。

庶民が使うことを想定した道具などがそろっているだけで、商人が使うことを想定したものは少ない。

となると別の物、あるいは別のかたちでお世話になるかもしれないが、今のところは違う店舗・・・それもカバンなどを専門にする店舗がいいだろう。


しばらく歩いているとお目当ての店舗が見つかった。

中に入ってみると庶民が扱うようなものから、商人が扱うようなもの。

物によっては豪華に感じられて貴族が身についていてもおかしくないものもあった。

僕は大きめのカバンを探してそのコーナーに入る。


色々あるが、どれも作りがしっかりしている。

おそらく駆け出しの商人などが使うことを想定した商品なのだろう。

厳密にいえば僕には時間経過があるが【アイテムボックス】のスキルがある。

それだけを考えるのであれば容量は小さくてもいいから丈夫なだけのカバンを購入すればいいだけだ。


しかしこの世界のスキル事情に聡いわけではないが、ラノベやアニメではアイテムボックスはレアスキルの一つだった。

アイテムボックスが一般的なスキルだった場合は、今考えてる大荷物持ちという設定を捨てればいいだけだ。

逆にレアスキルだったのに対して小さいバッグで商売をやり続けていたら不審に思われることは間違いない。

ならばそういう可能性を考慮して動いても損はないだろう。


僕はできる限り自分の身長で背負えそうなものでリュックのような形をした商品を探した。

結果目に留まったのは茶色のリュックだった。

鑑定を使ってみる。


【茶色のリュック】

そこそこ丈夫な素材を重ね合わせて作られたリュック。

しっかりと何度も縫い合わせられており丈夫。

商人が使うことを想定して作られている。

価格:銀貨8枚

耐久度5000/5000


いまいちこの≪耐久度≫という表示の意味が分からないが、それでも見た目的にも丈夫そうだし、耐久度の数値も高い。

これなら多少のことでもすぐに壊れたりはしないだろう。


銀貨8枚という値段も一般的ではないだろうがそこは致し方ない。

これもどこかのサイトで見たことだが、庶民が幅広く使う量産品は1個当たりの生産コストを下げられるのだとか。

反面生産数が少なくなれば、それはオーダーメイドに近づく分どうしても生産コストは高くなってしまうのだという。

万年筆など高価な文房具を、安定した収入を得た大人が買うのがオーダーメイド

大人から子供まで誰でも使うような普通のボールペンを買うのが、量産品と考えればわかりやすいだろう。


お店のカウンターに行き代金を支払う。

これでリュックは手に入れた。

残るは洋服だ。


洋服屋はこの店のすぐ近くにあった。

今と同じような感じの洋服を購入する。

靴に関しては追加で買う必要はないだろう。

その分安く上がったため、大体銀貨4枚くらいで済んだ。



これである程度の準備は整った。

とはいえ、塩と胡椒だけで今後も商売をしていくのは正直厳しい。

なので今日のところは宿に帰って休み、そのあとは情報収集をすることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る