1-2-8

翌日、朝食の時間前に起きた僕は手早く準備をした。

といってもお風呂があるわけでもないし、準備らしい準備ないのだが。


朝食でロッサリーさんと一緒にご飯を食べる。

どうやらこの宿は庶民も泊まる感じの宿のようで、朝食は一般的な家庭に出てきそうな食事であった。

尤も調味料の類が単調なのか、塩味が強いものが多く不味くはないが美味しいと言えるほどの物でもなかったが。


出発の時間になり馬車に乗り込む。

ロッサリーさんによると今日の夕方頃にはデミウルゴス公国の辺境伯領に到着するだろうとのことであった。


途中で魔物と呼ばれるものと何回か遭遇することはあったが、護衛の者が優秀だったらしく擦り傷などの怪我を負うことはあったようだが、犠牲者が出るようなことはなくのんびりとした移動になった。


移動中は再びロッサリーさんに質問させてもらった。

多くの人は商業ギルドか冒険者ギルドに登録していることが多いとのことだ。


商業ギルドは主に物品の販売やサービスの提供を主体としている。

もちろん物品販売の前の生産の段階も商業ギルドの範疇のようだ。

また求人募集も行っており、前の世界におけるハローワーク・・・だったっけ?

みたいなもののようだ。


冒険者ギルドはその名が示すとおりである。

街の清掃などの雑用から魔物の討伐依頼。そして移動には盗賊対策として護衛の請負などもある。

また管理が行き届いていない鉱山から鉱物を、草原や森などから薬草をとってくる依頼も冒険者ギルドでも受け付けているようだ。


2つ両方に登録することができるようだが、僕のステータスは今のところ戦闘向きの物じゃない。

それを考えれば商人ギルドに登録することは考えられるが、冒険者ギルドの方には依頼することはあっても登録することは考えにくかった。


登録できる街に着いたら商人ギルドに登録しておこうと思うと伝えると、目的地の町で商人ギルドに登録できるようだ。


そして夕方ごろに無事にデミウルゴス公国のファスペル辺境伯領に到着した。

街に入るための税金があるとのことであった。

冒険者ギルドか商人ギルドに登録していれば免除になるとのことであったが、身一つで即座に放り出された僕がそんなものに入る余裕はなかった。

これも必要経費と考えて手数料の小銀貨3枚を払い街の中に入った。


それほど大きな街ではないようだ。

しかし召喚された国で、ぞんざいな扱いで追放された僕からすれば、ほっと一息付けた瞬間でもあった。


街に入りロッサリーさんに商人ギルドの場所を聞いておく。



その後、僕はロッサリーさんに深く感謝の言葉を述べて別れた。

その際ロッサリーさんからは困ったことがあればいつでも気軽に相談してほしいと言われ、本拠地としているデミウルゴス公国首都においてある店舗の住所が書かれた紙を渡された。




そうしてロッサリーさんと別れた僕は、長旅で疲れていたため商人ギルドに行くのは明日にしようと思い、宿を探すのであった。

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