1-1-5

「よーし、全員決められた席に一度つけ~」

担任となる教師だろうか・・・

全身ジャージを着たダルそうな女性が入ってくる。


その言葉を聞いた生徒が決められた席に向かおうとそれぞれ動き出した時、いきなり教室がまぶしい光に覆われた。

目が少しずつ慣れてきてゆっくりと開けてみると・・・

いや、教室だけではない。

校庭も含めて学校の敷地のすべてが光り輝いている。

訳も分からず外を眺めると、校庭の一部に何やら模様のようなものが描かれている。


全く読めない文字のようなものも描かれており、まるでラノベで読んだ魔法陣のようにも見える。


教室どころから学校中から老若男女問わず悲鳴のようなものが聞こえ始め、皆がパニックになり始めたころ、光はより一層強くなり目を閉じても眩しさを感じるほどの強さになった。


そうして1分なのか、それとも5分なのか、まったくもって時間の感覚などないがしばらくして光がやみ、ゆっくりと目を開けてみると景色が完全に変わっていた。


何本もの大きな柱に囲まれている空間だ。

小学生のころ一度父に野球観戦で連れて行ってもらった野球場2個分くらいの広さがあると思われる空間に立っている。

周りでも目を開けて、学校にいたはずなのに景色が完全に変わっていることに困惑する学校の生徒たちが多く見受けられる。

中には恐怖し泣き出す生徒もいるようだ。


やがて全員が騒ぎ出したころにもう一度眩しい光が天井の方にいきなり出てくる。

それが弾けると光り輝く粒がゆっくりと降り注ぐ。

それに触れると恐怖・混乱・ありとあらゆる感情が真っ白になる感覚に襲われた。

そしてその場で言葉を発するものは一人もいなくなる。


すると

「みなさん、こんにちは。わたくしはアーガスト王国第一王女、ベアトリーチェ・フォン・アーガストと申します」

といきなり声がした。

どうやら空間の奥の方の台座に一人の女性と、台座の周りにブカブカのローブを着た男性が数人立っていたようだ。


「みなさんにお願いがございます」

とその女性は話し始めた。

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