1-1-2
「おはよー」
「おっす」
「ねぇねぇ、昨日のテレビ見た?」
「なんか面白いのやってたの?」
「ほら、昨日話してたグループの生放送やってたんだよ?見なかったの?」
「え!? 昨日は家族と外食行ってたんだよ~、見逃した~」
「ありゃ、残念」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕の名前は「
高校1年生だ。
今日は4月5日。
桜が舞う中で入学式の日である。
といっても、僕の通う学校は、今の世の中においては珍しくなくなってきた
公立の中高一貫校だ。
だからクラスメイトとなった人の中に顔見知りや友達となっている人たちは
それ相応にいる。
先ほど話していた女子生徒2名も中学時代に同じクラスになったり、
体育の2クラス合同の授業で一緒になったりと顔だけは知っている。
しかし、それだけだ。
僕は友達が少な・・・・いや、正直言おう。「いない」
幼馴染の「友人」と思いたい人たちならいるが、向こうはクラスの・・・
いや、学年のカースト上位に入る人たちだ。
僕なんかのことを心の底から気にかけたりはしないだろう。
もともと僕は内気な性格だった。
家庭も一般的で、会社員の父に、会社内結婚をして妊娠と共に退職し
パートタイムで主婦となった母という家庭で生まれ育った。
父が会社員ゆえにパソコンを家で使っていた為、空き時間で僕も使わせてもらった。
それゆえ面倒な人付き合いを自分から避けてネットサーフィンに興ずるという生活を選択しているうちに独りぼっちになるのはあっと言う間だった。
僕としては好きなことをやっているつもりでも、まわりはあっと言う間にコミュニティーを形成しており、すでに形成された「それ」に僕が入り込む余地は残っていなかった。
幸い勉強も一般的で中の下を維持し続けており、顔も平凡でこれといって良くも悪くもこれといって特徴がなかったため、いじめの対象になることはなく平凡な日常を遅れている。
でもそれだけだ。
周りで部活や課外活動に打ち込んでいる人たちは、徐々に目に見える成果を上げ始めていた。
僕も僕なりに努力を重ねたが、報われることはなかった。
次第にその人たちはカーストの上位となり、ぼくはどこにでもいるクラスメイトという立ち位置になった。
いや、僕のすぐ周りには、優れた「彼ら」がいた。
彼らも自然とカースト上位に入っていた。
いつの間にか周りは僕と彼らを見比べるようになり、いじめというほどのものはなかったが、悪意のまじった「ちょっかい」を受けるようになった。
彼らは僕の近くにいようとしてくれているが、僕は逆に彼らから遠ざかることになった。
そんな物思いにふけっているとその彼らが登校してきた。
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