第一章 異世界召喚

第1部 平穏と急変

1-1-1



-----憂鬱だ-----

〖僕は綺麗ごとが嫌いだ〗

【努力すれば報われる】【努力は人を裏切らない】

世の中で成功しあらゆるメディアに登場する「主役」たちは口を揃えて、こう言う。


僕は、僕なりに努力を続けている。

国中を探し回れば、努力している人はたくさんいるだろう。

いや、世界中を探し回れば、今の僕が生活している環境よりも過酷な環境下で必死に、死に物狂いで努力して生きている人たちもいるだろう。

ならば何故彼らは報われない?


それはある意味では絶対の法則ではないからだ。

つまりこれらの言葉の意味は、

【努力しなければ絶対に報われることはない、

しかし努力すれば報われる可能性がある】

ということを意味している。


僕は小さいころから一度たりとも「主役」になったことがない。

一度でも「主役」になれたらな、可能性を信じ努力しようと思えただろう。

でも人間関係でも、勉強でも・・・決して「主役」足りえなかった。

今までに何度も何度も希望を持ち、僕なりに努力を重ねてきた。

しかしその努力が実ることはなかった。

この年で人生を語るなんて間違ってるのかもしれない。

それでも僕は思ってしまった。

「希望を抱き期待するから、裏切られた気持ちになる」のだと。

「ならば希望を抱かない人生を歩んだ方が余程楽だと」


「主役」となった人から見れば「努力せず負け犬になっただけの存在」なのだろう。

でも僕は、その自分なりの答えに納得してしまったのだ。

そんな僕が日々の暮らしの中で人並み以上の希望を抱くことはできなかった。


まして僕には彼らがいた・・・

彼らに比べると自分自身で理解してしまう。

「ああ、僕は負け犬なんだな」と。

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