恋愛って、ドキドキ。ワクワク。
恋の始まりに、微笑む女の子。
その笑顔を、可愛い、と見とれる男の子。
そんな、素朴な恋愛のはじまり……。

その恋愛の行き着く先は。

ああ〜。と唸りながら、後半は拝読しました。
もうね、すっごく面白いから、一気読み必至です。
たった二千文字しかないのに、一万文字の物語を読んだような。
……いいえ、主人公とヒロインの、八年間を、この二千文字のなかで、たしかに見させていただきました。

この作者さまは、やっぱりすごいのです。
読了後、そのような感想を抱く、このショート。

おすすめですよ。
ぜひ、ご一読を！

この物語は、一言でいえば、つらい。
ただ、そこには二人が手を携えた人生があり、そこには確かに愛情が存在している。

人の心は、自らのものであっても時には理解できぬものです。
それでも人はその時に、そうだと信じる心に従って決断をしていくしかありません。
短い文字数に散りばめられた感情の機微は、あなたを深い沼へと引き込むことでしょう。
じっくりと味わっていただきたいお話です。

恋は、見つけるもの。
愛は、つくるもの。

つくった果ての、ふたりの、物語。
なんにもまちがっていない、だれもわるくない。
ふたつの人生の透かし絵です。

ほんとうに多様で、たのしく、明るく、あるいは泣かせるおはなしを造る作者さま。でも、わたしには、本作はかれの本質そのものに、おもえるのです。

良い旅になりますように。

おはなしの彼も、わたしも、相手とじぶんのながい旅路を祝います。
見送って、空気のにおいを、もういちど確かめるのです。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（275文字）