第7話 異能力 影法師
「異能力――――――――――影法師」
一ノ瀬一夜の周囲から影が現れる。その影は生き物のようにメラメラと不気味に動いていた。
「影法師じゃと?なんじゃそれは」
「現代の陰陽術のようなものです」
両者静かに睨み合っていた。しかし―――――
「―――――――
はて?と首を傾げる隼斗だったが、目の前の信じられない光景に思わず目を疑った。
「ここです」
「……!?」
先程まで隼斗の目の前にいた一夜は瞬き一つの間に隼斗の背後へと回り込んでいた。その距離約10m
「貴様、何をした?」
「ちょっとした陰陽術ですよ」
そのまま隼斗の右脇腹へと蹴りを放つ一夜。武蔵が憑依している隼斗は苦悶の表情を浮かべ、そのまま壁へと叩きつけられた。
「おっと、そんなとこにいると危ないですよ」
一夜は右手をスっと前に伸ばし言葉を唱える。
「
一夜の影から現れた4つの黒い玉が弾丸のように隼斗へと飛んでいく
隼斗は急いで二本の木刀でそれを全て弾いた。そしてそのまま瞬時に立ち上がって一夜の方へと駆けて行こうとグッと踏み込む
「
しかし目の前の一夜がまた視界から消え、またもや背後の壁から現れて隼斗の首を締め上げた。
「……ぐっ!?貴様何を……」
「これが俺の能力です」
――――――――――
《影法師》︰【SSランク】
その名の通り影を自在に操る能力。その技の汎用性は多岐にわたる。
《影法師 影踏み》対象者の影へと瞬時に移動する能力で、移動できるその距離に制限は無い。
《影法師 形影》物体の影へと瞬時に移動できる。
《影法師 射干玉》無数の黒い影の弾丸を放つことが出来る。一度に100発まで撃つことが可能で、最大出力で発射すればコンクリートの壁をも貫通可能
――――――――――
首元の手をどけようと隼斗は木刀から手を離し、両手で首元にある一夜の手を掴んだ。が、同時に離された木刀を一夜は一瞬で蹴りで遠くへと吹き飛ばす。木刀を離した隼斗からは先程までの覇気は消え、元の隼斗の人格へと戻っていた。
「能力は使わないんじゃ……なかったの?」
「今回の相手は思ったより強くてな、合意の元でルールを変更させてもらった」
にっこりと笑う一夜だったが、首元の力は緩めない。むしろ徐々に力を加えてこのまま隼斗の意識を落とそうとしている。
「ほらほら、ピンチだぞ?いい加減出てこいよ。」
「な、何を言って……」
その瞬間、黒かった隼斗の目が蒼くなり、首元の手を握りしめたままタンッと飛び上がって空中から前回りをして地面へと一夜を叩きつけた。
「うっ!?」
コンクリートの地面へと叩きつけられた衝撃により、思わず隼斗の首から両手を離し、直ちに距離を置いた。その時の一夜はにっこりと笑い、まるで何かを待ち侘びていたように隼斗を見据えていた。
「ようやく出てきたか、将人」
「またお前か、毎回しつけえなあ」
「お前と戦うのが本来の目的だからな」
絶体絶命の窮地に憑依して現れたのは、神崎将人だった。
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