第6話 伝説の剣豪
目の前なら放たれる本物の殺気に俺はジリリと汗が流れる。
「……こりゃ手加減してる余裕はねえな」
「おう。本気でかかってこい。でないとお主、死ぬぞ……?」
こちらを見る鋭い眼光だけで思わず半歩後ろに退る。俺はこれでも数々の強敵と戦ってきた。だがこいつは別格だ。これだからこいつとの訓練は辞められない。
思わぬシチュエーションに口角が軽く上がり武者震いがする。その時相手は5m程の距離を一歩の踏み込みで詰めてきた。瞬時に受けの体勢に移る。
「らっ!!」
上から斬りかかる二本の斬撃に両手を交差させ、俺は後退せず前へと突進する形で剣を受ける。
「ほう、お主戦い慣れとるのう……並の人間は避けようと後退するのだが」
「そりゃ嬉しいねえ、こういう長い得物は遠心力の働きによって先端に当たれば絶大な威力があるが、手前の持ち手付近は大して威力がない。当然素手でも受け止められる」
「なるほど、見事だ。ならこれはどうじゃ」
隼斗はその場にサッとしゃがみこみ、そのまま木刀から手を離す。俺は前へと力を加えているので木刀が上下反転した。
その反転した木刀を再度握りしめ、下から俺の胸部に強烈な突きを放った。二本同時攻撃なので二倍の威力がある。
「ぐはっ!?」
そして流れる動作で木刀を上下反転させ、今度は俺の右肩に斬りかかり、逆の手でみぞおちへ突きを放たれ俺は思わず膝を着いた。
「どうじゃ、ワシの二刀流は」
「はあ、はぁ……お強いですね。まさに達人だ」
「はっはっはっ、そうじゃろそうじゃろう」
こちらも剣を持っているのならまだ分からないが、素手では流石に勝ち目が無さそうだ。仕方ない。
「侍の大先輩には失礼かもしれませんが、ちょいとルールを破らせてもらいます。このままじゃ勝ち目が無さそうだ」
「なぬ?ルールじゃと?」
「ええ」
純粋な身体能力なら恐らくそこまでの差は無い。だが相手は歴戦の猛者。経験値が違う。しかし現代の戦いは昔とは異なる。
俺は目を閉じて意識を集中させる。
「異能力――――――――
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