第47話作戦会議
次の日。みんなで朝ごはんを作り、食べたあと。私達はお茶を飲みながら作戦会議を開始した。
『えー、私たちは2日後に開催されるオークションに潜入してオークションをぶち壊すわけだが。その前に、お前らはどうする?』
「えっ、どうするって・・・?」
『参加するかしないか。私としては危険だから参加して欲しくないが。』
「へぇ〜?余っ程心配なんだねぇ〜?優しいなぁトモリちゃん。」
『真白うるさい。・・・で、どうする?』
そう聞くと、子供たちは1人を除いて俯いてしまった。その1人というのが、
「マヤ、ばーんってする!!」
「ちょ、マヤ!何言ってるの!トモリさんは危険だって言ってたでしょ!」
「でも、マヤもトモリさんのなかまだもん!それに、おなまえも力もいっぱいもらった!だから、力になりたい!!」
『マヤ・・・。』
どうしよう。小さくて可愛いマヤが身振り手振りで伝えようとしてくれてるが、その動作が可愛すぎて内容が頭に入ってこない・・・。どうしてここにカメラはないんだ・・・。
『・・・よし、おいでマヤ。』
「ん!!」
おいで、と手を広げると、マヤは躊躇なく私の腕の中に飛び込んできた。可愛い・・・可愛すぎてもう離したくない・・・。
「えへへ〜、トモリさんいいにおい!!すきー!!」
『ぐはっ、!!』
「きゃー!と、トモリさん!?大丈夫ですか!?」
「ほおっておいていいよ〜。持病みたいなものだし。」
おい真白、持病とか言うな。それだと私が生まれつき変態みたいじゃないか。・・・いや、今も変態ではないけどね?
「トモリが変態なのは分かったけど・・・『おいタクヤ?』・・・マヤの言う通り、俺たちはもうトモリの仲間だ!!子供だとか関係ねぇよ!俺たちにも手伝わせてくれ!!」
『タクヤ・・・。』
他の子達も頷いてくれていた。それでも心配なのは既に私が親バカみたくなってるからなのか。
・・・それにしたってうちの子たちいい子すぎない?可愛いし最強じゃん。
『・・・・・・わかった。』
「!!本当か!?ありがとうトモリ!!」
「やった!俺、トモリさんの役に立てるように頑張るね!!」
「俺も!!」
「僕も!!」
「わたしも、頑張ります!!」
「あたしもー!!」
くっ、可愛い・・・。思わず子供たちから目を逸らして隣を見ると、ジトっとした目で真白が見ていた。好奇心で反対側に座るエストレアも見てみる。エストレアは何故か拗ねていた。いつもの事だな。
『ゴホン・・・じゃあ作戦会議を始めるか。』
「そうだね。まず今回の作戦の概要について説明するよ。」
エストレアはそう言うと、今回の作戦の説明を始めた。
作戦はこうだ。オークションに潜入しオークションをぶち壊すチーム1と、王宮に潜入し狼少年を助け出すチーム2、最後に司令塔兼伝達係となるチーム3。この3チームで作戦を決行する。
人選はチーム1がエストレア、タクヤ、ユウヤの3人だ。タクヤとユウヤならば大人に見えなくもないし、何よりエストレアがいればほとんど何とかなるだろうから。
そしてチーム2が私、ミツヤ、ミヤの3人。チーム3が真白、ナツヤ、マヤの3人だ。
作戦の流れだが、まず最初にオークション会場でエストレア率いるチーム1が大暴れし、オークションをぶち壊す。チーム1の3人にはオークション会場で暫く暴れてもらい、時間を稼いでもらう。
すると王宮を守る騎士や兵士たちはオークション会場に行かなくてはならなくなり、城を守る兵の数が少なくなる。そこで、私率いるチーム2が潜入する。
そして狼少年に関する情報を探しつつ狼少年も見つけ出し、4人で城を脱出。
私たちが脱出したタイミングでエストレアたちもオークション会場を離れ、今拠点にしているこの場所に集合する。
真白率いるチーム3はテレパシーで私たちに指示を出しつつ、状況把握などを行う。言わば司令塔。チームの要だ。
そうして作戦が成功したら、ひとまずヴァイス王国に向かい沈黙の森に入る。
沈黙の森で子供たちの部屋などを与え、これから生活するのに困らないように色々教える。そして離れても問題がなさそうなら、当初の目的である私の友達たちに会いに行く。
これがこれからの流れだ。まぁ多少の差異はあるかもしれないが、流れとしてはこれでいく。
「なにか質問はある?」
エストレアの言葉に、じっと静かに聞いていたタクヤが手を挙げた。
「暴れるって言っても、俺らは所詮子供だし戦闘経験も浅い。ほぼエストレアさんに頼りきりになると思うんだけど・・・。」
今関係ないんだけど、タクヤ私のことはトモリって呼び捨てなのに、エストレアのことはさん付けなのどういうことだ?理由によっちゃデコピンの刑に処すぞ??
「大丈夫だよタクヤ。そのための身体強化でしょ?」
「!そっか・・・今の俺には身体強化があるのか・・・。」
「うん。それに俺の魔力をタクヤに送り続けるから、身体強化が切れる心配は無い。あとは・・・そうだね、組手くらいはやっておいた方がいいかも。」
『だな。ミヤとミツヤのことは私が面倒見るから、2人はタクヤたちを頼む。』
「え”っ、ボクも組手するの・・・?」
「当たり前。真白だけサボるなんて許さないから。」
「うぅ〜。はぁ〜い。」
確かに真白は肉弾戦が好きそうには見えないけど、それでも普通に強いんだからちゃんと手伝ってもらわないと。
『じゃあ他に質問がないようなら・・・これから2日後に向けた特訓と作戦の擦り合わせを行う。・・・絶対、作戦を成功させよう。』
力強く言い放つと、全員が笑顔で返事をした。
それに頷き返し、私はふと空を見上げた。2日後はちょうど満月になりそうだと考えて、ふと嫌な予感を覚えた。
作戦決行は2日後。抜かりは無い。だと言うのに、なんだこの胸騒ぎは。何かを忘れているような気がした。それも、この一件の核心になるような情報を。
その核心を暴かない限り、この一件は終わらない。そんな予感が、私の心で渦巻いていたのだった。
─────────────────
「はぁぁぁあっ!!」
「やぁぁぁあ!!」
眼前に拳と蹴りが迫る。それを軽く避け、2人の背後に回った。
『どっちも甘い。ミヤは脇ががら空きだしミツヤは重心が崩れてる。』
「まだまだぁぁ!!」
「おりゃああぁぁっ!!」
先程よりはよくなった攻撃が迫る。それを避け、背後に回り、気絶しない程度にトン、と背中を叩いた。
それにより2人とも地に伏せる。はぁはぁ、と息絶え絶えな2人を見て、そろそろ訓練は終わりにすることにした。
作戦会議をした日の次の日。私と子供たちとの距離はかなり縮まりつつあった。
『お疲れ様。ミヤはやっぱり肉弾戦より魔法の方が合ってるかもね。でも魔法使いになるにしろ、護身術程度は身につけておいた方がいいから、訓練頑張ろうね。』
「はい!ありがとうございました、トモリさん!!」
ぱぁぁぁとキラキラした笑顔を向けられ奇声を発しかけたが、なんとか耐えてポンポンとミヤの頭を撫でる。可愛いなぁ・・・。
ミヤは魔法適性が高く、特に与えた光属性魔法は既に使いこなしていた。
更に昨日お風呂に入って分かったのだが、ミヤとマヤはかなりの美少女だった。赤茶色の髪と緑色の瞳がとても綺麗だ。ミヤは12歳、マヤは7歳だが、それにしては2人ともかなり小さいし痩せている。これからは毎日たくさん食べさせようと誓った。
そして男子4人。タクヤは赤髪黒目で短髪。端整というよりワイルド系の顔立ちで、1番年上の14歳。ユウヤは1番背が高く大柄、更に三白眼で目つきが悪いだが、この子が1番温和で優しい。茶髪に茶色い瞳で、歳は13歳。
ミツヤは今私が訓練している人の1人で、獣人。金髪金目で金色の耳をしている。恐らくチーターなのだろう、長い尻尾には黒い模様が入っている。この子は男の子だが、将来美少女に育ちそうなほど可愛らしい顔立ちをしている。歳は10歳だ。
ミツヤは肉弾戦の方が向いているようで、昨日今日でかなり強くなった。
最後にナツヤ。ナツヤはマヤの次に幼い8歳。青髪に青い瞳をしていて、マヤと並ぶほどの天使だ。可愛い。
「ミツヤは肉弾戦が向いてると思う。ミツヤなら素早い動きで敵を翻弄できるし、何よりあし足のバネが凄いから、蹴りを鍛えれば凄い攻撃力になると思う。」
「はい!ありがとうございました、トモリさん!!」
こっちも可愛い・・・と頭を撫でようとしたが、エストレアの言葉が脳裏を過ぎり手を止める。
そういえば、獣人の耳や尻尾を触っていいのは家族かパートナーだけだった。
耳を触らないように頭を撫でるとか無理だぞ・・・?そもそも頭を撫でなければいいって?それはそれで無理。
「トモリさん・・・?」
わぁ、すごく期待するような目で見てくる・・・というか今思ったけど、私たちってもう家族みたいなものなのでは?だったら大丈夫じゃない?
私はそう思い至ると、恐る恐るミツヤの頭に手を伸ばした。
頭に触れると同時、小指にふわふわの耳が当たった。ふわふわだった。紛うことなきふわふわ。
『・・・・・・・・・、』
「えへへ・・・トモリさんに撫でられるの、好きです。」
『ぐはっ!!!』
私は思わず頭から手を離した。これ以上触っていたらふわふわに対して理性が持たない・・・。
「だ、大丈夫ですかトモリさん!?」
「トモリさん!?」
『だ、大丈夫じゃないけど大丈夫だ。』
円周率でも数えようかな・・・と思ったりしたが、なんとかふわふわに対する欲求を耐え抜き、そして今日を終えた。
いよいよ作戦決行の日がやってくる。
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