第46話命約と星約
子供たちに情報を貰った私たちは、子供たちを連れて街の外に出ていた。
お礼も兼ねて、一緒にご飯を食べることになったのだ。もちろんご馳走を作る予定なのだが・・・。
『・・・この魔物、食えるのか?』
「多分?大丈夫だって〜!」
なんと肉の調達を頼んだ真白が、よく分からない変な魔物を倒して持ってきた。
どこが食べれてどこが食べれないのかも分からないんですけど??
「あ、それ美味しい魔物だ。」
そう言ったのは、野営にも魔物にも慣れているエストレアだった。
エストレアが言うならそうなのだろうと納得すれば、心外!!と何故か真白が憤っていた。真白はよく分からないが信用ならない。
「わ、わたしっ、お料理手伝う!」
「あたしも!!」
そう言ったのは、6人の子供たちの中で2人だけの女の子だった。
『ありがとう。じゃあ私がお肉を切っていくから、この串にお肉と野菜を順番に刺していってくれるか?』
「まかせてください・・・!」
「まかせて!!」
可愛いな・・・姉妹だろうか?よく似ている。・・・そういえば。
『みんな名前は?呼びづらいんだが。』
そう言うと、何故かみんなピシッと固まった。・・・なんだ?もしかして聞いちゃダメだったか?
「・・・トモリ。名前を付けてもらえる子供は、あんな場所にいないよ。」
『そうか・・・。じゃあ私が名前付けていいか?』
「ちょ、トモリちゃん!?ボクの話、忘れたの!?」
真白の話・・・って、あれか?名前を付けるのは命懸けだとかそういう・・・。
「命約!!忘れたの!?自分よりも弱い魔力持ちに対してのみ行える名付けのこと!!名付けることによって名付けられた者は急激に進化し、成長するけど・・・成長の度合いは名付けをする人の技量によるっていう話!!どれだけ大量の魔力を持っていても魔力をかなり吸い取られることは間違いないし、下手したら命に関わることもあるよってボク言った!言ったよね!?」
『あ、はい。言いました。聞きました間違いなく。』
でも呼びにくいし・・・見たところ、全員私より魔力低いじゃん。いけるいける。
『大丈夫だと思う。多分。・・・子供たちは、欲しくない?』
「えっ、そりゃあ欲しいけど・・・なぁ?」
「うん。でも・・・トモリさんが危ない目に遭うのは嫌だな・・・。」
『・・・大丈夫だ。最悪エストレアから魔力を貰えば問題ない。』
「いくらでもあげるよ、トモリ。」
ほらな、と真白を見る。真白はじぃーっと私を見つめた後、はぁぁあと諦めたようにため息をついた。
「しょうがないなぁ・・・。危なそうだったら止めるからね?」
『あぁ。』
さてと。名前は何がいいだろうか。私英語とかあんまり知らないんだけど・・・日本風の名前でいいかな?
『うぅーん・・・。』
「トモリちゃん、ネーミングセンスないからねぇ。ボクの名前だって安直だったし。」
『うるさいな・・・うぅん。』
夜の街ナハト帝国で出会った子供だから・・・。
『まず君はタクヤ。次に君はミツヤ、君がナツヤ、君がユウヤ、君がミヤ、君がマヤ、だ。』
最後をヤで統一してみた。兄弟っぽくていいんじゃないだろうか。因みにリーダー格の子供がタクヤだ。獣人の子がミツヤ、1番幼い子がナツヤ、大柄で1番身長が高い子がユウヤ。そして姉妹の姉の方がミヤ、妹の方がマヤだ。
「!!力が、」
「わぁっ、」
「なんだこれ・・・、」
「うわぁ!」
「きゃあ!」
「わぁぁ!」
どうやら命約は成功したらしい。魔力の残量を見てみると、既に半分ほどになっていた。
ついでに6人のステータスも見てみる。1番レベルが高いのはタクヤで、20だった。他の子は大体が15前後だな。まぁ、こんなものだろう。
でも星約を結べば、経験値は星約を結んだ人全員に行き渡るから、いつの間にかレベルが上がってる、なんてこともあるかも。
『・・・・・・星約も結ぶか?』
「「はぁ!?」」
いきなり強い反応を示したエストレアと真白に驚いたのか、子供たちはビクリと肩を揺らした。
『・・・結ぶ前に確認しなきゃだな。』
「待って、ほんとに結ぶの!?」
「早まらないでトモリ・・・!」
『タクヤ達はどうしたい?・・・このままナハト帝国で生きていくか。それとも、私達の家で一緒に暮らすか。』
「!!一緒に・・・暮らしていいのか?」
『あぁ。まぁ、決めるのはお前らだ。』
「お、俺。・・・俺はトモリたちと暮らしたい!」
「俺も、俺も一緒がいい!」
「俺も!」
「ぼ、僕も!」
「わたしもです!」
「あたしも!」
おぉ、そんなに勢いよく言わなくても。というか・・・本当にいいのか?・・・なんて、聞くまでもないか。全員本気の目をしている。
『じゃあ星約を、「「待って!!」」・・・どうした?真白、エストレア。』
「どうした?じゃないよトモリちゃん!!そんなにホイホイ結んでいいものじゃないんだよ星約って!!」
「そうだよ。・・・第一子供たちも、星約が何か知らずになんでも肯定するのはよくないよ。まずは説明を聞いて、自分でちゃんと考えてから決めなきゃ。」
『・・・それもそうだな。』
私はエストレアの言葉を受け、子供たちに星約の説明をした。
それぞれに能力を与えられること、魔力が繋がり共有ができること、星約を結んだ者同士なら誰とでもテレパシーが使えること、魔物を倒すと星約を結んだ人全員へ還元されること。
それら全てを説明し終わると、6人は何故か目をキラキラさせて私を見た。
「すげー!トモリってほんとに何者!?」
「そんな魔法聞いたことない!」
「俺、火属性の魔法が欲しい!!」
「僕は水魔法!!」
「わたし、光属性がいい!」
「あたしはばーんってやりたい!!」
すごい、驚いてるの最初の二人しかいない。ほか四人はただの願望じゃん。
まぁ、そうやって願望がある方が考えやすくていいけど。
『みんな星約を結ぶってことでいいのか?』
そう聞くと、6人は元気よく返事をした。ほんとにちゃんと考えたのか疑問だが・・・まぁ、結んで損は無いだろうしいいか。
『──────星に導かれし者達よ、我より青龍(セイリュウ)の名を受け取り給え。されば汝ら、我が至高の恩恵を賜るだろう。星を崇め、讃え、慈しめ。汝らの星名は《角宿(スボシ)》《亢宿(アミボシ)》《氐宿(トモボシ)》《房宿(ソイボシ)》《心宿(ナカゴボシ)》《尾宿(アシタレボシ)》なり。永遠の生を我と共に生き、永遠の忠誠を誓い給え。星約に応じよ、汝らの名はタクヤ、ミツヤ、ナツヤ、ユウヤ、ミヤ、マヤなり。』
「わぁ!!」
「なんだこれ!?」
驚く子供たちの声をBGMに、私はひたすら魔力を注ぎ続けた。一度エストレアから魔力を借り受けたが、それ以外に問題はなく星約は結ばれた。
『ふぅ・・・問題なく結べたぞ。』
「よっしゃ!!なぁ、どんな能力を授けてくれたんだ!?」
『んーと、タクヤは身体強化だな。』
「身体強化?」
『あぁ。しかもただの身体強化じゃない。自分を含む6人までの身体強化だ。』
「じゃあ・・・みんなの身体能力も強化できる・・・ってことか?」
『そうだ。お前には青龍のリーダーになってもらいたいからな。』
「!!おう、俺に任せとけ!!」
リーダーというのが嬉しかったのか、タクヤは嬉しそうに笑った。
それから私は全員分の能力を説明した。簡単に言うと、ミツヤには風属性魔法、ナツヤには火属性魔法、ユウヤには水属性魔法、ミヤには光属性魔法、マヤには素質があったため、星属性魔法の《隕石(シダライト)》を与えた。ばーんってやりたいって言ってたし、ちょうどいいんじゃないだろうか。
子供たちが嬉しそうにはしゃいでる姿は、思わず頬が緩んでしまうくらい微笑ましかったし、星約を結んでよかったと思った。
その後は、料理の途中だったことを思い出し、みんなで作って楽しく食事をした。
こんなに賑やかな食卓は久しぶりだったので、少しテンションが上がってしまったのは内緒だ。
そして片付けをした後、いい時間だったので子供たちは早々に寝かせ、私たち3人で交代しつつ寝ずの番をしたのだった。
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