第8話
「エリン、今日ダンスの講師のマリア婦人が面会に来てね、エリンが考えた靴がいかに画期的か話していたよ。絶対に著作権申請するべきだってね。お陰で大急ぎで靴職人と専属契約する事になったよ」
「そうなんですね。良かったです。丁度他にも考えてた物もあって、それをお父様が作った商会で売りだそうと思っていました」
「エリン、そう言うのはやる前に相談してくれ。後今度からは必ず作る前に完成品の概要も説明して欲しい。流出してからだと著作権の申請は通りにくいんだ」
「なる程。著作権と言う仕組みがあったのですね。知りませんでした。そうだ。どうせならドレス等を販売しているお店と共同で販売するのはどうでしょう?どうしても靴と服はセットになりやすいので、ドレスに合わせた靴を、見本のドレスと靴をセットで飾るのです。そうすれば独自の店舗を持たなくても沢山売れると思いますよ」
「分かった、分かった。取り敢えずはその辺の話はエミリアと相談して決めよう。他にも考えてる物はあるのか?」
「はい。いっぱいありますよ、まずは」
「待て、今は話さなくて良い。とりあえず構想があるなら情報を纏めて書類として提出してくれ。まずは作るなら影響が少ない物から頼む」
「え、えーと、はい」
何かお父様変だったような?まあいっか。本当は魔道具とかも作りたいんだけど、今は何の知識もないものね。
それからいつものように鍛練している時にふと気づいた。自分を解眼で見たことがない。
早速試してみる事にした。
【名前】
エリン・フォン・オルレアン男爵令嬢
【年齢】
8歳
【所属】
ムスタール王国・オルレアン領・領主次女
【種族】人間【祝福】28
【筋力】124【堅牢】72【俊敏】89【体力】73【魔力】186【器用】189【知力】250
【技能】剣技20・体術50・自己再生2・闘気7・纏い12・魔力場9・思考加速3・思考制御4・魔力感知34・感知11・算術50・速読19・真理9・魔力制御31・設計レシピ11・刻印6・雷魔術50・プラズマ2・錬金術5・解眼2
世界樹に導かれし者
アクセス権限5
私は暫く固まっていた。
何これ?世界樹?アクセス権限?意味が分からない。
身分証には表示されない謎の項目。
世界樹と言う言葉は知っている。それは前世での物語での話であって、この世界では聞いた事もない。それに【導かれし者】って事は、私はその【世界樹】によってこの世界に招かれたって事?何の為に?分からない。
それにこの【アクセス権限】も何かは分からない。何にアクセス出来るのよ。
ん?アクセス?アクセスって事は何かを知る、もしくは見る事が出来る?だとしたら、私には思い当たる技能がある。
解眼と設計レシピ。
そもそもこの2つの技能はおかしいのよ。
私が知らない情報を教えてくれる。元の世界の技術(情報)を教えてくれる。
この情報は一体どこから得ているのか?
恐らくはこの【世界樹】と【アクセス権限】が鍵なのだろう。
想像に想像を重ねた何の確証も無い論理。だけど、恐らく大きくは外れてないはず。そしてそれは私以外にもこの世界にやって来た【異世界の人間】が居る可能性もある事を意味している。
そしてこんな技能を授けたとするなら、この【世界樹】、もしくはそれを管理、もしくはアクセス出来る【何者】かが私に、もしくは【転生者】に何かをさせようとしている?
今は憶測だけで何も分からない。だけど、これから何か大きな事が起きる可能性はゼロではない。むしろ憶測が正しいなら必ず何か大きな事態に巻き込まれるだろう。
頬を汗が伝う。
少し寒気がした。でもだからと言って私には出来る事は少ない。自分の事で精一杯なのだ。私は今とても幸せなの。家族にも恵まれて、理想の女の子として生まれて、これから領地も生活水準も発展させて、楽しく幸せな人生を送るのよ。
だめだ。少し冷静になろう。どちらにしても今の私には出来る事は少ない。それに私は自分がやりたいようにやる。私の人生は私の物。
よし。解決。
私はこれからも私らしく生きる。
私は直ぐに鍛練へと戻った。そしていつもと変わらない幸せな日常へと戻る。
私らしく生きる為に。
部屋で休んでいる時に私はふと気づいた。あの解眼で映る表示はどうやって表示されてるのか。私は鏡の前に立ち、自分に解眼を使用した。
やはり左目には何も映らない。右目だけに表示されている。鏡を見ると何となく違和感を覚えた。
「右目がおかしい」
鏡に近づいて右目をよく観察してみる。
「あ、右目に何か映ってる。これは文字?まさか?」
私は表示を消した。すると鏡に映っていた右目の何かが消えた。
「これは、網膜に直接表示されてるって事?」
誰にも見えないと思ってたけど、私の目を見られてる時に解眼を使うとバレそうね。もしかして、設計レシピも?試してみると目に何か表示されていた。これからは少し気を付けよう。
それからいつものように卵に魔力を流しす。
するといつもより喜んでる気がする。可愛いわね。
「早く生まれておいで」
すると卵が動いた。
「まさか、うまれるの?」
すると卵にヒビが入り始め、ボロボロと剥がれ始め、小さな細い足が見える。
「頑張って。もう少しよ」
そのまま見守っていると、卵から出てきたのは金色の小さな蜘蛛だった。足は短く、全体的にまるっこい感じ。
「か、可愛い」
リアルの蜘蛛は不吉な見た目だったけど、この蜘蛛はぬいぐるみみたいな見た目ね。あら、ずっと私を見つめてる。
「おいで」
手を差し出すと私の手のひらに乗り私を見つめている。
「もしかして、魔力が欲しいの?」
すると私の指に体をスリスリし始めた。か、可愛い。しかも柔らかくて気持ちいい。私は蜘蛛さんに魔力を流した。すると喜んでるのが伝わってくる。やっぱり何か繋がってるのかな?
「蜘蛛さんだとかわいそうだし名前を付けないとね。そうね。シルクみたいな肌触りだから、シルクにしましょう。貴方の名前はシルクよ」
すると喜んでるのが伝わってきた。やっぱりこの繋がってる感じ、何となく意思が伝わるのね。もしかすると私が魔力を与えたのが原因かしら?鳥の卵から蜘蛛が生まれたし。
もしかして、ここ最近私が糸が欲しいって思ってたから蜘蛛に変化しちゃったとか?私のせい?
ま、どう考えても私のせいだよね。
シルクをクッションの上に戻すと卵の殻を食べだした。この殻にはかなりの魔力が宿っているから、やっぱりシルクは魔力を食べる生き物なんだろうね。
食べ終わるとクッションの上で眠り始めた。
「これから宜しくね。シルク」
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