第6話
「パラライズ」
二人の賊は痙攣しながら泡を吹きながらゆっくりと倒れた。使えるね。
パラライズはスタンガンをイメージして作った魔法だ。3メートル位までの距離なら感電させられる。距離を出す為に威力は高くなったけど、ま、大人だから死なないでしょ。魔法名を付ける意味は無いんだけど、効果をしっかりとイメージ出来る言葉を使うと効果と発動速度が段違いに上がるから使うことにした。
それにしても靴を履いていて良かった。
実は色んな小道具を作ってる中で、靴を改造して靴底の間に小さな短剣を隠しておいたのだ。まさかこんなに早く役にたつとは。
この二人は依頼人を知ってる感じだったから一人は生かしておこう。もう一人は殺す。何人居るか分からないから、何かあった時の為に減らして起きたい。
一人をロープで縛って口も塞いでおく。奥に放置して置けばいいよね。
そしてもう一人の男の首に短剣を突き刺した。
素早く引き抜き振り返らずに部屋からでた。
取り敢えず盗賊は皆殺しにする。罪悪感なんて微塵も感じない。やるべき事だけに集中出来る。
廊下を進むと開けた所から声がする。
「そろそろ依頼人が来る頃だぜ。あいつ何やってんだ?また見張りと話し込んでやがるな」
「ま、もう金は貰ったようなもんだし気が抜けてるんだろ」
「ちげーねー」
一気に飛び込み魔法を放つ。
「パラライズ」
この二人も同じ様に倒れた。
この二人の首にも短剣を突き刺し入り口らしき扉に向かう。
扉を開けると見張りが二人立っていた。
一人は直ぐ様首に短剣を突き刺す。
「何だこいつ。どうやって出てきた」
喋ってる間に一気に踏み込み剣を持ってる手を蹴りあげる。
流石に剣は手放さなかったみたいだけど悪手。がら空きの首に短剣を突き刺した。
それから男達の死体を小さな家の中に放置して荷物を漁る。何か手がかりが有れば良いけど。
探してみたら拘束してたヤツが契約書を持っていた。ま、流石にバカでも形に残る契約じゃないと依頼を受けないよね。
依頼人はケンプファー子爵ね。隣の領地じゃん。
って事はここは隣領なのかな?ま、迎えがくるらいしからその時に聞きますかね。
暫くすると馬の足音が聞こえて来た。
11人かな?果たして馬車の中には誰が乗ってるんだろうね。
「見張りがいないぞ」
「あれ?向かう時はちゃんと居ましたよ。中でお楽しみ中なんですかね?」
「おい。ケンプファー子爵様の物に手を出すとお前ら全員殺すぞ」
私はずっと魔力を練り上げていた。その魔力を空高くに放つ。全員くたばれ。
「サンダーレイン」
すると上空から大量の雷が降り注いだ。
爆音と閃光で目も耳も感覚が無い。そこそこ離れてたんだけど。私は盗賊から頂いたポーションを飲んだ。
暫くすると少し音が聞こえる様になり、視力も僅かに回復した。ゆっくりと近づいて行くときっちりと11人の死体があった。逃がさずにすんだみたいだ。
そして馬車は大破していた。馬車の残骸を退けると、そこには2つの死体があった。まる焦げで誰かは分からないね。
盗賊達は身分証を持って無かったけど、10人と馬車に乗っていた二人は身分証を持っていた。身分証意外と丈夫。
それから家紋入りの短剣と装飾品を回収した。全員身分を証明出来る物がないし、全身焼け焦げて判別なんて出来ないはず。護衛が鎧着てなくて助かったね。
馬車の残骸も燃えてた所に全部集めて燃やした。
裏に馬が繋がれてたから一頭だけ頂いて残りは逃がした。
拘束していた奴をロープで馬に繋ぎ、そのまま引きずりながら馬と一緒に歩いて街道にでた。うめき声がうるさい。
街道に出れば道が分かった。盗賊が持っていた地図を便りに自分の家に向かって歩く。
途中疲れて休憩を挟みながら街道を歩いた。
日が上り始めると騎馬の一団が見えた。
「お嬢様ーーーー」
この声はハロルドだね。これでやっと安心出来る。
安心すると急に力が入らなくなった。立っていることも出来ず、そのまま倒れこんだ。
探しに来てくれてありがとう。ハロルド。私凄く疲れたから眠るね。後はお願い。
声に出てたかは分からないけど、私はそのまま意識を手放した。
「お嬢様。お嬢様。お嬢様。すみません。本当に申し訳ございません」
「隊長、それよりも一刻も急くお嬢様を家に連れて帰って差し上げましょう」
「そうだな。それで、この馬に引きずられてる奴は何だ?」
「まあ拘束されてるし、犯人を捕まえたんじゃないですか?どうやって捕まえたのかは謎ですが」
「私はお嬢様を連れて先に帰る。お前はこいつを引きずってこい。絶対に殺すなよ。楽には死なさん」
「分かりました」
こうしてオルレアン家始まって以来の大事件は幕を閉じた。
エリンを愛する家族が暴走した事を除けば。
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