第7話 落つる星の夜
2人はあっけにとられながらも「
お日様が西の空に沈むと東から月が昇って来た。ある程度の高さまで月が昇って魔法陣に光が差したとき魔法を唱えるのだ。
「準備はいい?」
「母さんこそ大丈夫なの?」
「やあねぇ、おばあちゃん扱い?」
「だってこの子が生まれたら、本当におばあちゃんじゃない。」
「あらそうね。じゃあ孫のために成功させないとね。」
「うん、でも心配なことがあるの?」
「なに?」
「こんなにたくさんの魔力にさらされて、おなかの子は大丈夫なのかなって思って…」
「大丈夫、彼が守ってくれるわよ。あなた彼のことを愛し、彼もあなたのことを愛しているのだから大丈夫よ。」
「ありがとう母さん。」
「その子の母親があなたのように、私はあなたの母親なのよ。少しぐらい頼ってもいいのよ。」
「ところで母さん、あの魔女は何をしているの?」
「あ、あれ。この様子を人間のところに映像として届ける魔女よ。王様が見たいというものだから、全世界に見せてやろうと思って。」
「全世界に?」
「魔女がいないとあなたたちの世は滅びるのよ。って見せつけてやろうと思って。そのほかにもいろいろお願いして来たわ。」
「何勝手にお願いしてるの?」
「ここに来た魔女たちは命をかけて来ているのよ。その魔女に何にもないなんてありえないじゃない。だからいろいろ王様にお願いして来ただけ。」
「母さんのそういうところ嫌なのよ!」
「まあまあ、悪いようにはしないから。はいはい、星が落ちて来ますよ。」
「もう。」
魔女は旅人の方に行き話し始めた。
「いいお母さんだね。」
「どこが!まったく母さんのああいうところ嫌いなのよ。」
「でも今君緊張していないよ。」
「そうだけれど…。」
「こんなにもたくさんの魔女を集めたり、王様にお願いしたり、いろいろ大変だったんじゃないかな?」
「まあそうだけれど…」
「お母さんには、僕たちの子を見てもらわないとね。」
「わかったわ。」
といって魔女は笑った。
「いい笑顔だね。」
そういって魔女に寄り添った。
「ん、う〜ん」
と咳払いをしてお母さん魔女が見ていた。
「それでは行くわよ。お2人さん。」
全ての魔女が呪文を唱え始め魔力を集めていた。
星はどんどん落ちて来ていた。もう星の地表の様子がわかるほどに近づいていた。
「もういいんじゃない。こっちはいつでも魔力を集め渡せるわよ。」
「だめ、この距離ならで星を砕くことができるけれど、あれだけの体積のものがこの森に降り注いだら、森がなくなってしまう。砕いた後一気に焼き上げる。」
「そんなことまで考えてたの。まあそれだけ大切な森なのね。いいわよいつでも呪文を唱えなさい。それと同時に魔力をあなたに注いでいくわ。」
「わかったわ、そのときお願い。」
とても強い風が吹き荒れているけれど魔女は冷静だった。その様子は全世界に流され、人々は固唾を飲んで見守っていた。神に祈りを捧げげていた人たちはいつしか魔女を祈るようになっていた。
その時だった。空に向かい一条の光が走った。あたりは真っ白になり星に当たった。星は砕けたくさんの火の石が雨のように降り注いで来た。
「まだよ。」
とまた魔女が呪文を唱えさらに星を焼いていた。その様子は落ちる火の石を包み全てを焼き尽くしていた。魔力が途絶えた魔女たちがバタバタと倒れる中全ての火の岩を焼き尽くしていた。
全ての魔力を使い切った魔女たちは、光が消えたあと月に照らされる静かな森を見るのだった。
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