第6話 大勢の魔女

 次の日の朝、何やら小屋の前が賑やかです。たくさんの人がいます。いや箒に乗っている人もいるので全員魔女です。10人や20人で収まりません。たくさんの魔女がいました。2人はびっくりして外に出ると、以前小屋を訪ねてきた魔女見習いの子がいました。


「ご無沙汰しています」


「これはどういうことなの?」


「この日のために世界中の魔女を集めてきました。」


「でも落つる星を落とせるのは私の魔法だけよ。」


「それなので…」


 後ろから出てきたのはどうやらこの集団のリーダーとも思えるベテランの魔女でした。


「かあさん!」


「ひさしぶりねぇ。あなた森に入って出てこないからどこにいったかわからなかったわ。」


「だってもう人のために魔法を使うのはやめたのだから、森の中の方がいいでしょ。」


「ん?あなたおなかに…、そういうことね。あなたたった一人のために全魔力をかけるのね。そういうことなら私たちが来た甲斐があったわ。」


「どういうこと?」


「”星落としの魔法”を唱えられるのはあなただけ。私でもできないわ。おなかの中にいるのなら、もうあなたの魔力はそんなに残っていないわよね。」


「そんなことはわかっているわよ。」


「そこで私の登場。ここにいる全ての魔女の魔力を私が一つにまとめてあなたに渡すわ。そうしたら、魔力がなくて魔法の効果が出ないこともないでしょう。それでもおそらく一発勝負。もう一度魔力を集めて魔法を唱える時間はないわよ。」


「でもどうして母さんがそこまでしてくれるの?」


「あなたほどではないけれど、私たち魔女が何をされたのかは思い出したくないわ。でもね、存外悪いことばかりではないわ。人間の友人もいる。守りたい命はあるのよ。しかし私には星落としの魔法は使えない。使えるのはあなただけ。そのあなたがどこにいても見つからない。だから一度は諦めたわよ。でもこの子があなたのいる小屋を見つけたというのだから驚いたわ。」


 魔女見習いの子は少し照れていた。


「まあ事前に準備したいと思ったけれど、またあなたどっかにいってしまうと思ったからこうやって当日押しかけたたってわけ。こんな大きな魔法、仕掛けるのならば満月の今夜よね。」


「なんでもお見通しってわけね。仕方ないから手伝ってもらうわ。」


「相変わらずねぇ。ところでそのおなかの中の子のお父さんは彼かしら?」


 そう言われて初めて旅人が「はい」と答えた。


「ということは義理の息子ということになるのね。」


「はじめまして、お母さん。」


 緊張した面持ちで話しかける。


「ありがとう、あの子をこんな風にしてくれたのはあなたなのね。」


「はぁ。」


 どう答えていいかわからない返事をすると小声で


「ここに来る前のあの子ったら、もうそれはそれはすごかったのよ…」


「母さん!」


「お〜怖!これが成功したらお話ししてあげるわ。」


 と話すとすっと出ていった。

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