第5話 準備の間

 魔女は確実に落ちる星を落とすために古い文献を調べた。過去に何度も落ちてきて、何度か世界を救った魔女がいたことを知っていたからだ。旅人は森の中を探した。魔力を強くする薬草があるとかつての旅で教わったことがあるからだ。その薬草を旅人自身が森で見たこともあったので探した。ただたくさんの量が必要なので時間はかかった。


 いろいろな準備のために街に行くときがある。そのとき人々の間でも落ちる星についての噂話をしているのを聞いた。しばらくすると、もう人々の間でもその話で持ちきりだった。どうやったら世界が無くならないか、どうやったら生き延びられるかを話していた。やけになり全財産を使う者、今までと変わらず生活をする者、神に祈りを捧げる者など色々な人がいた。魔女に助けを乞う小さな子はいたけれど、大人たちはただただ解決策のないまま過ごしているだけだった。


 ある日魔女見習いの子が小屋を訪ねて来た。どうやら風の噂に二人のことを聞いたらしい。この森を探して小屋を見つけたのだから能力はあるのだろうと思っていた。何か手伝わせて欲しいとのことだったけれど、特にもう準備は終えていたので手伝えることはないと伝えた。こんな森の奥に来てもらったので旅人が歓迎して料理を作った。魔法を使わない魔女を見て驚いていたが、こんな魔女もいいですねと魔女見習いの子が言っていた。次の日魔女見習いの子は帰っていった。


もう夜になると「落つる星」は見えるようになった。二人はいよいよそのときがやってきているのだとわかった。とてつもない魔法を使う。森に影響が出ないように準備した。しばらくして昼でも見えるようになってきた。お日様よりも大きくなってきた星を見て次の満月の夜がちょうどいいだろうと考えた。満月の夜は魔力を何倍にもしてくれるのでその日にかけるのが一番だと思ったからだ。


 それからの数日、魔女と旅人は今までのことを振り返りながら過ごしていた。新しい命を感じながら過ごしていた。


「いよいよ明日ね。」


「そうだね。」


「なんだか怖いわ。」


「大丈夫、君はちゃんとできるよ。」


「自分がいなくなるのは構わない。でもお腹の子とあなたがいなくなるのは耐えられない。」


「僕だってそうさ。だから3人で暮らそう。」


「そうね。それがいいわ。」


 そうして二人は眠りにつきました。

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