第3話 グランマ

 サリアとトールがこちらに歩きながら何やら話している。


「トール大丈夫?けっこうな荷物運んでくれてありがとう。私一人じゃ運びきれなかったよ。」


「うん、これぐらいなら大丈夫だよ。これってサリアのおばあちゃんのところに届ければいいんだよね。おばさん言ってた。」


「そうそう、おばあちゃん久々に帰ってきたと思ったら、このハロウィンの祭りで占いやるんだって。」


「そうなんだ。おばあちゃんも魔女だよね。」


「そうそう、偉大なる魔女グレートウィッチーズらしいけれど、今じゃ魔力は全然だよ。私の方が強いぐらい。」


「あはははは、サリアそういうことは言わない方がいいよ。」


「だって本当だもん。でもおばあちゃんの占いってけっこう当たるんだよね。評判なのかいつも行列ができるんだよ。」


「そうなんだ。やっぱりサリアんところは魔女の家系なんだね。」


「どうだか。」


 そういうと占いのテントの前にやってきた。


「ここだね。おばあちゃんいる〜。」


 そうすると先ほどのグランマが中から出てきた。


「あぁ、サリアいらっしゃ〜い。大きくなったわね〜。」


「おばあちゃんも久しぶり〜。これお母さんから頼まれていた荷物、持ってきたよ。」


「ありがとう、トールくんもありがとうね。重かったでしょ。」


「いえいえ。これぐらい大丈夫ですよ。」


「あら、サリアの彼氏はイケメンで優しいのね〜。」


「おばあちゃん何言ってんの、トールは彼氏じゃないよ!お・さ・な・な・じ・み!」


「じゃあ、なんでそんなに赤くなってんのよ。」


「気のせい、気のせいだよ。」


 トールは横で何が話されているのか理解できずにニコニコしていた。


 少し焦ったサリアとからかっているグランマ。そんな楽しいやりとりはお祭りの雰囲気の中溶けていった。


 そこでグランマの頭の中にまたビジョンが現れた。”月蝕の魔女”のビジョンだ。サリアを前にしてもまた”月蝕の魔女”が脳裏に宿る。


「先ほどの女の子のビジョンとは違うけれど、サリアからも”月蝕の魔女”のビジョンが見えるなんて…。」


 心の中でつぶやきながら首傾げていた。


「おばあちゃん、これここでいいの〜?」


 サリアの元気な声がテントから聞こえる。


「今行くね〜。」


と叫んでグランマはテントに入っていった。

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