第7話 作戦
そういえば、サリアとトールを両思いにして、サリアの魔力を少しだけ下げる作戦を実行中だった。トールと過ごす時間が楽しくて、少し忘れていた。でも何だかサリアの魔力は確実に落ちているみたい。今まで負けたことない相手に負けたり、魔法が制御できなくて暴走したこともある。思っていたよりも作戦の効果が出過ぎて、何だかサリアに申し訳ない気持ちになってきた。
でも最後にトールの気持ちをサリアに伝えるかどうか迷った。
「サリア、トールが好きなのはあなたよ。」
たったこれだけのことを言えば、お互い愛し合いサリアの魔力は落ちてくるはず。そのはずだった。でもトールに愛されているサリアのことを考えると悔しくなってきた。
魔法の勉強をしないサリアとあれだけ勉強しているトールは釣り合わない。むしろ私の方が釣り合うはず。絶対そう。何だか二人がくっつくのは嫌。そんな気持ちになってきた。
それよりも何よりも何か胸が痛いのだ。今日の学校でもそうだ、二人が仲良く話しているとなぜか胸が痛む。トールとサリアが仲良く話すのは昔からなのに、最近二人の楽しそうな笑顔を見ると心が痛む。胸が焼けそうなので、魔法で水を出そうとしたら、魔法が発動しない。一瞬かかっても持続しないのだ。
「どうしたんだろう。こんな簡単な魔法使えないなんて。」
私は焦った。まさか魔法が使えなくなっている?
自分が魔法を使えなくなることなんて一度もなかった。魔女になるための学校に通っているのに魔法が使えないなんてありえない。だけど今魔法が使えない。他の魔法も試したがいくつかかからないものがある。
なぜ?そのとき私は気がついた。”恋”に落ちたのだ。サリアではなく私が。
彼といっしょにいたい。彼に褒められたい。いつも彼のことを考えてしまう。冷静になって考えるともうこれは恋だ。
なぜ今まで気づかなかったのだろう。まさか自分が恋に落ちてしまうなんて。ライバルサリアに勝つための作戦が、自分にかかってくるなんて思わなかった。
満月の夜は魔力が一番強いはずなのに、私は魔力を失いつつあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます