魔法使いのライバル

第1話 ライバル

 まただ、また勝てなかった。ここのところずっとだ。親友でありライバルであるサリアがまた学年成績トップを持っていった。サリアが、


「危ない危ない、今回もテリアに抜かれるかと思ったけれど大丈夫だった。よかったぁ~。」


とか言っていた。そのときは


「残念、まだまだ足りないのね。次は頑張るわよ。」


と言って微笑んだけれど顔は引きつっていたかもしれない。今回は勝てるのではという自信があった。かなり準備にも時間をかけたし、魔法の練習もした。魔力ではサリアに勝てる気がしないけれど、技の正確さ緻密さでは上ではないだろうかと思っていた。


 だから、とてもとても悔しい。最大限の力を出して自信もあったのにサリアには勝てないのだろうか。今日は歩いて帰る気力がないので車で迎えにきてもらった。帰りの車の中でため息をついていたら運転手兼執事のじいが聞いてきた。


「どうされました?」


「またサリアに勝てなかった。」


「それは残念でしたね。」


「私としては手応えあったのだけれど、ダメだった。」


「ほとんど同じぐらいではありませんか。」


「でも1番と2番では全然違うわ。」


「サリア様とは昔からよく遊んでいるところを見かけますが、似ていますよね。」


「全然違うわよ。サリアはテスト勉強しているの見たことないのよ。たいてい遊んでいる。それでも1番なんて才能以外何もないじゃない。私はすべての時間をかけたのに勝てなかった。それでも似ているの?」


つい、まくし立てるように言ってしまった。困り顔のじいが言う。


「何というのでしょう。二人並んでいるとよく似ているなと思いますよ。」


「そうかなぁ?」


 ぜんぜん似ていないと思ったのに、じいは似ているという。家に帰って復習しよう。テストの間違ったところをちゃんと復習してちゃんと魔女にならないと。私の夢は魔女になること。


これはもう決められたことなのだ。我が家は歴代魔女を出してきた家系、でも母は魔女ではない。恋をして結婚すると魔法はなくなる。だから母の姉、魔女おばさんが我が家の家系を守っている。


 そして私は一人っ子なので魔女になるしかない。そんな使命を心に決めたのは少し大きくなってからだ。小さい頃はほうきで空を飛んできたり、魔法で何でもやってしまうおばさんに憧れた。純粋に私も魔女になりたいと思ったのだ。


できれば1番の魔女になりたい。そして魔女の道を応援してくれたお父様とお母様に恩返しがしたいのだ。それなのにまた1番は取れなかった。お母様は2番でもすごいじゃないって言ってくれるけれど、やっぱり1番がいい。

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