第4話 告白
古代魔法の授業。何か先生が言っている。先生が言っていることは大抵ママに言われたことばかりだ。先生も私の古代魔法の知識はびっくりしている。でも使わない魔法ばかりなのではっきり言って興味がない。それよりも考えていたのは、
“もしかしたら私はトールのことが好き?”
その疑問に関してはいつでも「NO!」といえる。トールとはそういうものではないんだって頭では考えていた。
「トール、今日もいっしょに帰ろう。」
「うん、今日はちょっと委員会の後輩の女の子に、体育館裏に来てくれって言われているから先に帰ってていいよ。待ってくれていたらいっしょに帰ろう。」
「校門のところで待ってる。遅かったら先に帰るね。」
「わかった。」
そう言って別れて、ママに頼まれていた魔法書を図書館で借りて、校門のところで待っていた。
「意外と来ないわね。もしかして、いなかったから入れ違いになって帰ったかな?」
体育館裏に行くことにした。そうしたら後輩の女の子がトールに向かってモジモジしている。何話しているんだろう?こちらからはトールの背中しか見えない。
後輩ちゃんが
「トール先輩のことが前から気になっていました。よかったらお付き合いしてください!」
と話しているではありませんか。これは告白、噂に聞く告白の場面ではありませんか。私も動揺した。でもトールはなんて返すんだろう。人の告白なんて聞いてはいけないものだと思うけれど、トールが何言うかとても気になった。
「ありがとう。でもごめんね。俺好きな人いるからダメなんだ。」
というと、後輩ちゃんは一気に泣き出しかけていった。トールは
「悪いことしたなぁ。でも心の中は変えられないんだ。」
とぼそっと言っていた。
慌てて校門のところに戻り待っていたふりをする。
「サリア、待った?」
「うううん、図書室寄ってたから今来たところ。」
私の動揺に気づかれただろうか。
「じゃあ帰ろうか。」
「うん。」
トールの顔を見てもいつも通りだった。今さっき女の子ひとりふってきたとは思えなかった。私の視線に気づいたのか
「どうしたの?」というので、
「何でもないよ。用事、大丈夫だったの。」
「うん、まあよくあることなのだけれど、問題はないよ。」
よ、よくある?トールってモテるの?何だか頭の中がこちゃごちゃしてきた。そのときもトールと話をしたけれど全然覚えていない。
でも、トールがあの後輩ちゃんとお付き合いしなくて本当に良かったと思った。
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