第2話 数日後

「サリア〜。朝よ〜。起きなさぁい。」


 また今日の朝寝坊した。魔法で支度しようとしたけれど、なんだかだんだん弱くなってくる。どうしよう。魔女のママに相談してもいいけれどなんか嫌。仕方なく朝食を食べに下に降りる。


「あらまだ支度できていないの?パジャマのままでいいから食べちゃいなさい。」


「言われなくても食べますよ。」


いつもと同じ時間に起きている。支度なら魔法でパッとやってしまうんだけれど、どうも最近魔法が効かない。うまく発動しない。そんなこと考えていたらママが、


「あなた恋してる?」


なんていきなり聞いてきた。いきなりだったのであたふたしながら、


「い、いきなり何? 別にしてないよ。」


というのが精一杯だった。


「それならいいんだけれどね。実は恋をすると魔力が急に弱くなり、最悪魔女になれないこともあるのよ。ってそんなこと知ってるわよね。」


「し、知っているわよ。」


ってなんとか答えたけれど、心の中ではかなり動揺。ちょっと待って、恋をすると魔力が弱くなって最悪魔女になれないって、聞いてないし、聞いたことないんですけど〜。!初耳なんですけど〜。


 動揺しながらも朝ごはんを食べ終え着替えに自分の部屋に戻った。まだ動揺している。今まで魔女になれないなんてこと想像したことなかった。魔法は特に何もしなくても呪文が発動した。魔法の威力も普通の人の数倍上だった。だから魔法の練習も勉強もしたことない。親友のテリアがいつもどうやって魔法かけているのと聞いてくるけれど、う〜んこんな感じ?って適当に答えていた。


ここのところ魔力が弱くなっているのを自分も感じる。これってまさか恋をしているということ?じゃあ誰?そう自問自答したとき顔が浮かんだのは幼馴染のトールだった。


「いやいやいやいや、ないない。」


つい口に出して言ってしまったけれど、完全に否定できるのであろうか?


よく周りからふたりは付き合っているのと聞かれるけれど否定していた。そう恋愛対象として見たことはない。いつも隣にいていつも困った時に助けてもらって横にいるのが普通だった。


「まさかトールのこと好き?」


口に出して言ったらますます恥ずかしくなってきた。いつものように朝いっしょに学校に行ったとき何だか急に意識して恥ずかしくなってきた。あまり口数が多くない私に


「大丈夫?具合悪いの?」


と聞かれたときも


「大丈夫、何でもないわ。ちょっと寝不足なだけ。」


そう答えただけだった。

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