明転

@zweisleeping

明転

最適な人を生成する街でぼくらは傘を持たずに歩く


意味のある名前のままでは恥ずかしい 遠くにいけないような気がする


可能性は開かれていて中野区を再開発する大人にもなれる


就職したぼくは葉っぱを吸っていて二十四時間働くという


好きな曲を出囃子にしてしまったと後悔しているパブロフの犬


売れてった同期たちにはおめでとう 集合写真をおぎなって見る


中央線からのぞきこむマンションのベランダにある政党ポスター


冗談が冗談を呼ぶなぜみんな一人ではなく二人でやるのか


だからこそきみだけじゃないだれからもとくべつ愛されているだろうね


カントリーマアム 数を減らすことでその地位をまだ保とうとする


彼とまたやり直そうだなんてまだきみの命は永遠なのか


笑わせるプロというより笑われるプロだから真似しないでください


飛び出していく明転で あこがれたそれにぼくらは顔を焼かれて


喜劇だと気づかせるには十分なフリとオチがあったはずなのに


このタイプの「元気?」にはボケなくていい ボケなくていいから


しくったとせめて声には出すべきだ 二人で船に乗っていたなら


五月雨が2秒で強くなるように近況もこの5文字で変わる


丁寧に季節を畳んで終わらせる みんみん ほかと違うペースで


店員K ネームプレートが本体でそれ以外には判定がない


あの川で拾って投げたその石を東京でまた拾ったような


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