第3話

「強くなったね?」


 彼女が、また。さびしそうに笑う。こうやってふたりでまた会うようになって、3日め。

 いつものように。彼女が、胸のシガレットに手を伸ばす。強さをほめると、いつも彼女は逃げるようにシガレットを咥える。でもなぜか、火は点けない。

 シガレットを出す彼女。彼女には、言えないけど。数年間で、彼女の胸は、大きくなっていた。私の口からは、口が裂けても、言えないけど。本当に、本当に本当に、大きくなった。


「胸が気になるの?」


 うわぁ。

 心臓が止まるかと思った。いや止まった。ごめんなさい胸見てました。ていうかばれてた。しんだ。


「あぁ、ミントか」


 彼女が、戻した胸のシガレットを。胸ごと、こちらに向ける。


「どうぞ」


 え。

 なにが。


「ミント。取って吸ってもいいよ」


 この大きさの胸の、その胸から。ミントなるものを。いや無理。胸をさわらない限り、取れない。つまり、しぬ。私はしぬ。

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